「世界で最も強い女性集団」というランキングがあるとしたら、トップ5に入るに違いないのが、インドの超富裕層マダムたちである。
超富裕層でも、もちろんエレガントで控えめな女性たちは存在する。
しかし、態度が大きい、声も大きい、自己主張当たり前、迫力満点の派手なファッション、光り物ウェルカム、高級ブランド大好き、ゴージャスこそ人生、といった人たちの方が、圧倒的に多いと思われる。
我が家の向かいにあるワールドトレードセンターで、今日から2日間に亘って、「女性起業家によるファッション&ジュエリー、小物関連ブランドのフェア」が行われている。
本日初日の午前中に赴いた。アパートメントを出た途端、車のホーンがあちこちから響いてくる。通りに出れば、いつもに増して交通量が多い。ポリス数名が待機して、交通整理をしている。フェアに訪れる人々の車で、あたりは渋滞しているのだ。
道路を渡り、ワールドトレードセンターに向かえば、高級車国産車入り乱れて、しかし次々に車から降り立つ派手な衣類に身を包んだ女性たち。
ジーンズ&Tシャツ姿でふらりと訪れたわたしには、場違いなほどの華やかさである。なぜそこまで人々は着飾っているかといえば、このようなフェアやエキシビションは、超富裕層マダムらの「社交の場」、いわばパーティ会場でもあるのだ。
出されている店や商品よりもむしろ、訪れている人々の「人間観察」の方が興味深いほどだ。
会場へ入れば、セレブリティらしき女性が複数のメディアにインタヴューを受けている。入り口にはドリンクやスナックなどを供するウエイターたちが立ち、混雑している。
いつものエキシビションよりもかなり雰囲気がよく、出されている店もまた、クオリティが高い。それにしても、商品、人間、ともにどうしてここまで派手なのか、というくらいの派手さである。
たとえ世界が恐慌に陥ったとしても、この人たちだけは無駄に光り輝き続けるに違いないといった、底知れぬパワーを感じさせる。普段は「パワー強め」のわたしだが、ここにおいては、東アジアから来た地味で静かな一女性だ。
さて、ここが「社交の場」であることを裏付けるように、大げさではなく、本当にあちらこちらから、
"Hi! How are you?"
と、偶然に知り合いに会った人たちの挨拶が聞こえてくる。
欧米在住経験があろうがなかろうが、この際グローバルなマナーなどはおかまいなしに、バンバン人にぶつかって、押し合いへし合いしながら、目的の獲物(商品)に向かって突撃する人々。
いい加減にせいよ。
とも、思う。
そもそもから「バーゲン」や「セール」が苦手なわたしは、もうこの場にいるだけで、確実に疲労し始めている。
この喧噪のなか、自分の欲しいものを嗅ぎ分け、がっちりと購入し、紙袋を両手にぶら下げている人々を見ると、そのパワーに感服してしまう。
広大な会場をうろうろし、今日は買い物しようと訪れたはずだったが、何がなんだかわからなくなってきたので、こういうときには何も買わないのがいいだろうと判断する。
あまりのものの多さ、人の多さに集中力が持続しないのだ。
人ごみに押し出されて、閑散としたブースにたどりついた。そこは、オーガニックコットンの商品を扱っているブースであった。見事に誰もおらず、しんとしている。そのディスプレイの、光っても、輝いてもいないさまに、ほっとする。
オーガニックコットンで作られたタオルやベビー服などが売られている。品質も、かなりよい。タオルの肌触りは、米国の一般的なタオルに比べると柔らかく、日本の一般的なタオルに比べると硬い。
特にベビー服の仕上がりが、シンプルながらよかった。
ちなみにこのブランド、SVAASA。アーユルヴェーダ関連リゾートやホテルの経営、ヘルスプロダクツの販売などを行っている。個人的に気になるブランドだ。今後、他の商品についても、チェックしてみようと思う。
ところで今日もまた、インドでは悲劇的なニュースが。寺院参拝に訪れていた人たちが、将棋倒しになって百名以上が圧死。つい数カ月前も、同じようなことが起こったはずだ。テロで亡くなる人よりも、多いのではないか?
せめて入場制限をするなどして、事故を防ぐ手だてを講じてほしいものだ。