本日、日曜日の夕方、夫と義姉スジャータと3人で、映画を見に行った。今、インドで最も話題のボリウッド映画、"3 Idiots" だ。実はこの映画、年始早々の視察旅行の際、クライアントとともに一度観ているので、二度目である。
ヒンディー語の映画であるため、もちろん言葉はわからない。1回目を観たあと、関連サイトで「あらすじ」を見直し、不明点を解消した上で、今回「2度目の鑑賞」に望んだのだった。
インド映画は、長い。この映画も、3時間ほどあった。以前も書いたが、インド映画には途中で休憩が入るのでいいものの、3時間のぶっ通しでの鑑賞は、なかなかに疲れる。
しかし、この映画は2度目でも退屈させない、興味深いものであった。
テーマは、過熱するインドの教育事情。IIT(インド工科大学)をモデルにした大学に通う、1978年生まれの3人の男たちを主人公に、大学時代と現在とが交互に折り混ざりながら、物語は進む。
成績優秀な学生は、エンジニアリングに進む。といった図式に疑問を突きつけた映画だ。
枠にはまった勉強勉強の日々で疲弊する若者たちの姿と、枠という囚われを打ち破って社会に出た10年後の彼らの姿。
詳しい内容は、他のサイトでも見られるので、そちらに譲りたい。日本語であらすじを書かれている人もあるので、興味のある方は検索していただければと思う。
個人的に感嘆したのは、主演のアーミル・カーンだ。彼はわたしと同じく44歳。にもかかわらず、大学生の役を違和感なく演じているところが、すごい。
そもそも、わたしは彼の雰囲気を、あまり好きではなかったのだが、以前、ここでも紹介したTaare Zameen Par/ 地上の星を観て感動し、味わい深い俳優だと思った。
更には、ムンバイでピアニスト「ランラン」のコンサートを見に行ったとき、会場前のホールで彼ら夫妻を見かけ、その、超有名な俳優にも関わらず、あまりにも「普通な感じ」にまた驚いて、好印象を持ったのだった。
この映画でも、演技がややくどい印象は否めないが、しかしインドの俳優とは「くどいのが普通」なので、とても楽しんでみることができた。
それにしても、ボリウッド映画に歌と踊りのシーンがないと物足りない、と思うようになった自分の嗜好の変化に驚く。ストーリーが中断して、突然ミュージカルが始まるシーンがあって、見る側も気分転換して異なる世界を楽しめるのだ。
この映画は、やや「ロードムービー的」な要素もあり、デリーからヒマラヤ方面、シムラーやラダックへ向かう道中の光景が少しばかり見られる。最後のシーンの湖の美しさには感嘆した。いつか訪れたいと思わされた。
ちなみに、アーミル・カーンに並んでインドで超人気の俳優、シャールク・カーンも44歳。彼も"Om Shanti Om"という映画で、半裸になるために鍛え上げた上半身を、「これでもか!」と言うほどに露出し、その若々しさを讃えられていたものだ。
年齢を乗り越えてエネルギッシュに、1965年生まれが熱いインド映画界。あやかりたい。
2009/03/13 [Mumbai] ラン・ラン。躍動感あふれるピアノに酔う一夜。
➡︎https://museindia.typepad.jp/2009/2009/03/post-3.html
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ところで、この映画。日本のクライアント3名も、楽しんでいた。彼らも、わたし同様、ヒンディー語がわからず、内容を正確に把握していたわけではないのだが、あとから通訳で同行していたインド人青年に説明してもらい、大まかな概要はつかめた。
映画を見ることによって、短時間のあいだに(といっても3時間だが)、インドのライフスタイルをつぶさに見られ、これもまた意義深い視察の一環である。
それはそうと、クライアント3名のうち、激しく若い女性2名が、異口同音に、一番スリムな俳優のことを「カッコイ〜〜!」言うので、驚いた。下の写真の、右端の男性だ。
彼は、さまざまな映画に出演している俳優だが(といいながら、わたしは名前をしらない)、脇役のタイプ。あのような、頼りなさげな、細い線の男性がカッコいいのか、と、目からうろこが落ちる思いであった。
ひょっとして、ああいうタイプを草食系というのだろうか。よくわからんが、面白い感想であった。
インドへ旅行に来る方。最近はシネマコンプレックスも増え、快適な環境で映画鑑賞ができるので、滞在中は一度映画鑑賞を楽しむことをお勧めする。インドのライフスタイルやカルチャーの一端を垣間みることができて楽しい。
ちなみに、週末の映画館は、「お茶の間」と化す。今日も、子ども連れが多く、あっちこっちで赤ん坊の泣き声や、子どものぐずる声が聞こえていた。しかしここはインド。日曜日の映画館を選ぶなら、喧噪覚悟で鑑賞だ。それがいやなら、平日の朝などが静かな時間帯を選びたい。
ちなみにこの"3 Idiots" 。子どもに見せるにはきつすぎる「出産シーン」があるので、念のため。
■3 idiots (←wikipedia)