何がハッピーなのかといえば、今日はカルナタカ州の正月だったのだ。ハッピーディワリ! と騒ぐのは毎年10月あたりだが、同じヒンドゥー教の祝祭(だと思う)でもカルナタカ州は独自の正月があったらしい。
すでに4年以上住んでいながら「らしい」というのもいい加減な話だが、ともかくインドは、国民の祝日以外にも、宗教別に大小あれこれと祝祭日があるため、わけがわからんのだ。
メイドのプレシラが「明日は州の祝日です」と、昨日の帰り際、休みたそうに告げていたが、彼女はクリスチャン。来月はクリスチャンのイヴェントがあれこれあって休みを取らねばならないらしいし、そもそもわたしたちが家を空けていることも多いため、休みは自由にとれている身の上。今日は来てもらうことにしたのだった。
ところでわが家のドライヴァー事情にも、ようやく「春の兆し」が見えてきた。油断大敵だが、しかし、ともかく現状いい感じだ。プレシラの夫、アンソニーの知り合いを紹介してもらったのだ。
アンソニー。それは丘の上の王子様。
からは著しくかけ離れた風貌のアンソニー。典型的南インド、ドラヴィダ系の風貌をしているアンソニー。身長は低いががっちりとした体つき、顔つき濃厚、肌色が濃いめなアンソニー。
インド人でもクリスチャンはクリスチャンの名前を持つのだ。そして、新しいドライヴァーの名前はといえば、ベンジャミン。ベンジャミン・フランクリンのベンジャミンだ。
彼もまたクリスチャンである。アンソニーを縦に伸ばしたような30代男性だ。非常に感じがよい人で、挨拶をするとき、敬礼さえする。軍隊である。やりすぎの感もあるが、笑顔も爽やかだし、とても気が利くし、今のところ、本当にいい感じである。
給与はかなり奮発気味だが、ちゃんとした人であれば、少々高くても仕方がないと思える昨今。もう、やくざな世界はまっぴら御免である。
ところで本日。ここ数日、新聞紙面を賑わせていた「インド最大のショッピングモールがオープン」の巨大広告を見つけ、諸々の視察を兼ねて、足を運ぶことにしたのだった。
MANTRI SQUARE MALLが、目的地だ。
開店日のショッピングモールなど、行くべきでないということはわかっている。インドだもの。
混雑だの段取りの悪さだの、そもそも開店していないテナントがたっぷりあるなど諸々が懸念されたが、しかし今、ちょうど時間のあるこのタイミングを逸しては、しばらく行かない気がするので、行くことにしたのだった。
ロケーションはバンガロール市街西部のマレシュワラム。東部にある我々の家とは反対方向だ。このエリアは古くからの居住区で、富裕層、中流層が住まう。
建物の雰囲気も、道行く人も、「昔ながらの南インド」のムードが漂っていて、封建的かつ伝統的なライフスタイルが残るチェンナイを彷彿とさせる。
モールは予想通り、中流層、アッパーミドルクラスをターゲットとしているらしき、店舗構成かつムードだ。これがインドで一番大きいのかどうかは果たして謎だが、確かに大きいような気はする。
今日は「正月休み」のせいもあってか、きれいに着飾った家族連れが目立った。
多くの人々で賑わっていた。
みんなが笑顔である。
初めてエスカレータに乗るのであろう母親を見て、大笑いをしながら手を引く娘がいる。
はしゃぐ子どもたちがいる。
友だちと写真を取り合う少年たちがいる。
家族そろってうれしそうにソフトクリームをなめながら、あたりを見回しながらゆく家族。
同じバンガロールとは思えない、別の時間と時代に紛れ込んだかのような。昭和のころのデパートのようでもある。遠い昔、岩田屋や新天町を歩いたときのことを思い出す。
サンビームのソフトクリーム。ロイヤルのプリン・ア・ラ・モード。サンリオショップのパティ&ジミー……。
案の定、店舗の3分の1以上はまだ工事中であった。フードコートに至っては、半分もあいていない。とはいえ、開いている店もあるのだから、オープンしてもよいのであろう。インドだもの。
本来、ショッピングモールなどの写真撮影は制限が厳しいのだが、今日は開店当日で警備員もそこまで気が回らないことを予測していたのだが、その通りであった。
なにかにつけ、仕事で「さまざまなインドの光景」が必要になるため、普段から撮れる時に撮っているのだが、今日はなかなかに興味深い光景を捉えることができた。
全体を一巡した後、最後にオランダ発「ハイパーマーケット」であるところのSPARへ。せっかくだから、買い物をして帰ろうと思う。ここは他のエリアよりも一段と込み合っている。バンガロールには、SPARはこの他のモールにも進出しているが、この界隈には初めてのハイパーマーケットである。
ローカル向けの家電、調理器具、食材などが揃っており、非常に「インド的」だ。何がインド的って、一番上の写真も非常にインド的であろう。カリフラワー王国インドを象徴する一枚だ。畑から取ってきたものを、そのままドサッと放置したかのごときワイルドなディスプレイ。
南インド的、といえば、下の写真。こちらはココナッツ。南インド料理には欠かせない食材だ。
さて、わたしはと言えば、野菜類は普段、オーガニック野菜を販売しているNamdhari'sを利用しているので、敢えてここでは買わない。目的は「魚介類」だ。
かつては、ラッセルマーケットに早朝赴き、大量購入しては自宅でさばき、冷凍保存していたものである。ムンバイではシーフードの宅配を利用していたが、バンガロールはラッセルマーケットか、肉屋のBamburiesで冷凍物を購入するかである。
コラマンガラのSPARにも魚介類はあるが、わが家からはやや遠いので、しばらく足を運んでいない。
想像以上に魚の種類が多いのがうれしい。毎度おなじみのマナガツオ(ポムフレット)やエビなどのほか、今日はインディアン・サーモンとシーバスを購入。インドのサーモンは、身がピンク色のサーモンとは異なり、白い。しかし、味は白身ながらもそれなりにコクがあり、なかなかにいけるのだ。
帰宅してのち、早速キッチンに籠って魚をさばき、適宜、冷凍保存する。
夕飯には、インディアン・サーモンをムニエルにした。これがたいそう美味! 軽く塩こしょうをして、小麦粉をまぶし、バターとオリーヴ油混合で焼いてみたのだが、こんがりと風味もよく、夫も大喜びである。
わが家からは、コラマンガラもこのマレシュワラムも、ほとんど同じくらいの距離。どちらが便利かよくわからんが、ともあれ今後は、早朝ラッセルマーケットよりも、こちらを利用することが増えそうである。
インドの生活。みるみるうちに、変わっていくことを、改めて痛感する午後。
とはいえ、ラッセルマーケットの「それなりのよさ」も、伝えておきたく、最早化石的な過去の記事のリンクをはっておく。それにしても、当時のわたしの文章の砕け具合はいかがなものか。我がことながら、若干、気味が悪い。人も変わる。
■魚屋でも始めるんですか? (2007年1月24日の記録)(←Click!)
インド発、元気なキレイを目指す日々(第二の坂田ブログ)(←Click)