路傍で衣食住の人々。地方からの出稼ぎ肉体労働者たちと、その家族。
わが家からほど近い通りの空き地のスラムは、夕暮れ時になると、薪を割る人、火をおこす人、鍋釜炊き出す人、走る子ども、うなだれる男、語り合う女ら、茫然の老人。
■3D哀歌
世の中どうしてこうも、3Dなのだろう。公開される見たい映画も、最近は3Dが増えた。『アヴァター』は機内で見た。『アリス・イン・ワンダーランド』はDVD待ち。『シュレック4』は先日2Dと間違えて観に行って、途中で退場した。(詳しくはキレイなブログ参照)
世間は「3D、ワンダフル!」が絶対的大多数だが、わたしは嫌だ。なぜなら画面に酔うからだ。なにかと頑丈にみえるわたしだが、三半規管の弱さはわたしにとってのアキレス腱である。
それでなくても、映画館では後部座席を予約せねば、画面に酔うというのに、3Dなどを見た日には、頭痛、目眩、吐き気に襲われるのである。
にも拘らず、世間はテレビまでも3Dブームらしい。先日マンハッタンのタイムワーナービルディング内にあるサムソンで、試しに3Dテレビを視聴した。酔うとわかっていても、一応、経験のため。
最初の数秒は「ほほう」と思うが、たちまち頭が痛くなる。だいたいあの眼鏡からして鬱陶しい。
それでなくても最近は、プチ老眼につき、目の焦点が合わせにくく苦労しているというのに、更にはややこしい眼鏡をかけて、いったいどうしろというのだ。
夫はといえば、もちろん多数派。3Dの進歩に対して好意的だ。
「そのうち、ヴィデオカンファレンスも3Dになって、出張に行かなくてもよくなるよ」
いいのか、それで?
3Dは、いろいろな場面で、物事を改善し、向上させ、人類にとってプラスになるものを生み出すのだろう。すでに生み出しているのだろう、きっと。
しかしそうなると、人間は、どんどん動かなくなるのではないか。旅するかわりに3D。人に会うかわりに3D。そのうち、匂い付き、触覚付きなども出て来るのだろう。
まさに『アヴァター』の中の世界のように、実際に経験していないのに、経験しているかのようなリアルなシミュレーションを自らのものにすることができるのだろう。
人間、退化するぞ!
このインターネット世界にしても然り。わたし自身、このインターネット上に置ける表現の場があるからこそ、どこにいても、誰かに何かを伝えることができており、この存在は最早かけがえのないものだ。
しかし同時に、ネットから遮断された世界にあっても、自分が自分として、有意義に生きて行ける「野性味」やら「原始的な感性」やらを、維持しておくべきとも思うのだ。
たとえ誰かに伝えられなくなったとしても、自己完結できるだけのなにか。
「ブログを読んでいるので、会っていない気がしない」
と、これまで何人の人から言われたかわからない。知らない人からも、旧知の友のように接せられることもある。もう、その善し悪しを問うている時代でも、状況でもなく、是非はともあれ、渦の中だ。
ブログに未来日記を書きためて、予約投稿しておけば、わたしがもしいなくなったとしても、気づかぬ人が大多数だということだ。
もう、すでに人間の生身の交流は、コミュニケーション手段の下位に移行しているのだろう。あまりに遠すぎるとはいえ、過去の、人々の生きる時間について、時の流れについて、思いが及ぶ。
君が行く 道の長手を繰り畳ね 焼き滅ぼさむ 天の火もがに
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む
今来むと いひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ
やすらはで 寝なましものを 小夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな ……
一日千秋の思いで、思う人を待ちわびた時代。
夜の長さ。当時の寿命はと言えば、多分40代であろう。
などと、時代をあまりにも遡りすぎた。
ともあれ、わたしは3Dが嫌なのだ。という話だ。
■笑っている場合なのだ。
今朝の新聞。真っ先に目に飛び込んできたのは、先だっての飛行機事故の事故機からブラックボックスが発見されたとのニュース。
DGCA(Directorate General of Civil Aviation)のオフィサーのおじさん。
ブラックボックスが見つかってうれしいのはわかるが、白い歯を見せて笑顔である。
笑っている場合か。
その、悲劇的な現場で。
クラッシュの記録が封じ込められている箱を手にして。
日本だったら、まずあり得ない、この状況での笑顔。
本当にもう、どこまでも、インドって、インドだ。
■日本人としての。
昨日は、在バンガロール日本人女性からなる「さくら会」のランチに出席した。1年おきに交替する「お世話係」の引き継ぎも行われた。
新しい会員はどんどん増え、在4年超のわたしは言うまでもなく古株で。
ところでつい先日、OWCの日本人会員お世話係の役を、ついに別の方に引き継ぐことができた。
3年前より担当していて、毎年変わってくれる方を募っていたのだが、諸事情があって全面的に作業をお任せする人を見つけることができずにいた。
ともあれ、今は役を離れ、しかし自分自身で始めたところの、慈善活動関係は続けて行く予定だ。
★MSS: Muse Social Service インド発 地域社会とのコミュニケーション
思えばチャリティ・ティーパーティも、今年に入ってまだ一度しかしていない。二都市生活のときは、限られたバンガロール滞在時間に有意義なことを、と予定を詰め込んでいたが、こちらの滞在が長くなると、緩くなる。
そろそろ、一度行うべし。
インド発、元気なキレイを目指す日々(第二の坂田ブログ)(←Click)