「美穂ー暑いよー私の平熱ぐらいの気温です」と、母からメールが送られて来た。暑そうだ。一方のバンガロールは、曇天が続いていて涼しい。
朝晩は冷え込んで、ブランケットに包まって目が覚める日々。数日前から冷え込みのせいか、喉の調子が悪いくらいだ。南インドだというのに、そこが高原というだけで、こんなに涼しいなんて。
と、毎年、同じようなことを書いている。
昨年末にムンバイ&バンガロールの二都市生活が小休止となり、一旦はバンがロールに引き上げている昨今。時間に余裕ができるだろうと思っていたが、なぜかできない。いつものように、時は瞬く間に流れて行く。
今回、バンガロールに一時定住しての変化に、「人とよく会っている」ということが挙げられる。それも日本人の友人知人と。思い返せば社会人になって以来、こんなに頻繁に仕事以外の人と会い、おしゃべりをすることはなかった。
1カ月に一度、会うかどうかといったところだった。
もっとも、インド移住初期は、それでもかなり色々な人と社交を持っていたが、二都市生活の時期はまた、「単独行動」が主流だったので、このごろの、少なくとも週に一度は誰かに会っているという状態が、愉しくも奇妙な感じだ。
なんだか、自分らしくない。
日本を離れて14年。日本語という共通言語で話しながらも、わたしはかなりずれたスタンダードで話しているのではないか、と、ときどき思う。思うがしかし、そのまま暴走しているけれど。
このあたりのことについては、じっくりと考察したいテーマがさまざまにあるのだが、長くなるのでやめておく。
このごろは、なるたけ手で文字を書く機会を増やそうと、毎朝新聞を読むとき、気になった記事の見出しだけをノートに取り始めた。
日付と出所をいれておけば、記事の内容はインターネットで検索することができる。日々、気になる情報があふれる中、新聞紙を切り取って保管しておいても、見直すことは滅多にない。
しかしノートであれば、未来、パラパラとめくって、「これは!」と思う記事を再発見し、記事を読み直すことができる。なかなかにいいアイデアだと自分では思っている。
話は変わるが、インドは28の州と、7つの連邦直轄地域によって構成されている。州の位置関係を把握しておきたいと思いつつ、なかなか覚えられない。いや、真剣に覚えようとしていない。
覚えねば……と考えた矢先、果たしてわたしは日本の都道府県の位置を確実に覚えているのか? との自問がわき起こった。
日本の都道府県の位置、県庁所在地を覚えたのは、中学一年の地理の授業においてだった。当時、地理の授業が好きだったので、しっかり勉強していた。
もちろん、都道府県、県庁所在地もきちんと覚えていた。ということは覚えているが、今、当時の記憶がそのまま残っているわけは、もちろんない。
あのとき以来、たとえば「白地図を埋める」といったことを、やっていない。やってみたい。
思い立ったら吉日。
インターネットで白地図をダウンロードし(これまたいい感じの白地図があった)、自分でテストすることにした。
まずは「確実」な九州地方から。それから絶対に間違えない、北海道と青森辺りを埋める。再び山口県に戻る。東に進むに連れて、すらすらと出てこない。
四国も、高知と愛媛はすぐに出てくるが、徳島と香川を思い出すのに時間がかかる。
真ん中あたり(!)になると、わけがわからなくなってくる。確信を持てず、「勘」で埋めていく。どうしても出てこない県名、つまり空欄が数カ所。
県庁所在地と県名が異なる県だけを別記しようと思ったが、結局「北海道=札幌」しか思い出せない。愕然。
さて、地図を見ながら採点する。申し訳ない。福井県民、そして和歌山県民の方々。わたしの記憶から、この2県が、抜け落ちていた。
それに加えて、関東甲信越地方の場所がめちゃくちゃ。
自分でも愕然としたのは、東京を、ワシントンD.C.とかニューデリー同様、特別区っぽく小さい地域だとの記憶違いをしていたこと。「東京/埼玉」って……。
採点をしてみて、そうだそうだ、東京はこういう横長な地形だった思い返すも、情けない。東京。8年も暮らしていたのに。
それから、県庁所在地については、北海道の札幌以外、全敗。言われれば、「そうだそうだ、そうだった」と、思い出すが、言われなければ、閃かないといった状況。途中で赤字を入れるのも面倒になってしまう。以下、残りだ。
群馬県 前橋市
山梨県 甲府市
愛知県 名古屋市
三重県 津市
滋賀県 大津市
島根県 松江市
沖縄県 那覇市
などとわたしがここで書き出してみせることもないのだが。ともあれ、「頭の体操」としては、なかなかに楽しい「白地図埋め作業」である。今度はインド地図で挑戦してみたい。
その前に、覚えねば。
話は力一杯かわるが、丸ごと鶏肉料理のあれこれについては、ここでも幾度となく紹介して来た。しかしまたしても、とり上げたい。
これまでは「圧力鍋」で調理してきたが、最近マイブームの「マニプール産石鍋」でぐつぐつことこと煮たところ、一段と旨かった。
毎度おなじみ、インドの濃厚玉ねぎを千切りにし、今回はごま油でじっくりと炒める。
玉ねぎの甘み、旨味が調味料代わりだ。
それにショウガの千切りも加えて炒める。
ショウガとごま油、これも風味の決め手だ。
それから今日は残り物の大根をいれる。白菜があればなおよいが、なかったので大根のみ。
きれいに内臓を掃除した鶏肉丸ごと(切ってもよいが、煮込みの場合は丸ごとが簡単で楽しい)を載せる。
塩、醤油などを適量入れて、煮込む。最後にネギを入れて、出来上がり!
このスープがもう、上品なラーメンスープって感じで、おいしい。ラーメン屋を開きたくなるくらいだ。
少々風邪気味のマルハン夫妻ゆえ、この料理は身体も温まるし、最高である。
残りの鶏肉は、翌朝、細く裂いた物をランチのおかずの具にするなど、応用がしやすい。
わたしのランチは、インスタントラーメンの「麺」だけを茹でて、スープと残りの具をかけて食べた。これまたおいしかった。
昨今のインドのインスタントラーメン事情についても、あれこれと語りたいことがあるのだが、別の機会に譲ろう。
さて本日の午後。書店やエキシビションなど、いつものように市街を巡ってのち、MGロードのあたりに展示されているメトロ(近々開通する高架を走る電車)の「見本電車」を見たく、ドライヴァーに交差点の向こう側で止まるように頼んだ。
と、そのあたりで待機していたポリスに捕まる。
理由は「黄色信号で止まらなかったから」。
なにそれ。インドじゃ赤信号でさえぶっちぎるドライヴァーだらけなのに、黄色信号で止まらんからって、罰金とはこれいかに。
ドライヴァーがカンナダ語で、
「オレはやってない!」
的なことを主張しているが、絶対にかなうわけがない。わたしが出て行ったところで話が翻るとも思えんが、しかし悔しいので、車から降りる。
「赤は絶対に止まる。しかし黄色は、違うでしょ? 赤になるという警告で、止まれない場合は無理して急ブレーキかける方が危ないでしょ」
と訴えるも、話が通じない。
というのも、ポリスのおっさんもおねえさんも、英語ができないのだ。カンナダ語もしくはヒンディー語ができないわたしの負けである。
100ルピー。わずか200円とはいえ、ここですんなり払うのはいやだ。自分たちが悪ければもちろん払うが、黄色で払えとは、納得がいかん。
しかしおっさんは、
「ほにゃららほにゃらら、イエローほにゃらら、ストップほにゃらら……」と言うばかりで、黄色は止まれだと言い張る。
東洋人が鼻の穴を広げて吠えていたら、野次馬が集まってきた。ううぅぅぅ。
と、通りがかりの英語ができるおばさまが、話しかけて来た。
「どうなさったの?」
と、やさしく尋ねられたので、これこれこうでと事情を話したら、
「あなた、無駄な抵抗よ。彼らは間違っていても、絶対に自分たちを押し通せる立場だから。時間の無駄だから、100ルピー払って、行くのが賢明よ」
つい先日も記したが、ありがちなのは、たとえば本当は罰金が500ルピーだが、安くするからと領収書なしで少額を言い、ポリスがそれを懐に入れるケース。
そうだとしたら絶対にポリスには袖の下をやらない。無駄になってもレシートを貰うのだと意気込んでいたが、そうではなく、噂のブラックベリーに情報を入力している。
という話だろうが、そのまま罰金を払って立ち去るのも悔しい。
彼らのネームタグを凝視し、名前をメモにとり、写真も勝手に撮る。
そして、100ルピーを払った。
レシートもプリントアウトして発行してくれたので、袖の下ではないことは確かだ。
ちなみにドライヴァーのベンジャミン(赤いシャツの男)には、半分の50ルピーを払ってもらった。
すべてわたしが払うより、やはり運転をしていた彼にも、責任を感じて欲しいので。50ルピー程度であれば、払っても生活に差し支えのない額であろうから。
見本電車の車内まで入ってみたいと思っていたが、ポリスとの不毛なファイトでその情熱を失った。外観だけ、取り敢えず、写真を撮った。
それはそうと、明日から4日間に亘り、バンガロール・ファッションウィークだ。にも関わらず、プログラムが一向に発表されず、「午後2時半から」という情報しかなかったのだが、今になってようやく届いた。
グランドオープニング、午後4時から。
に変わっている。すでに出遅れ感のあるスタートだ。で、インドでは4時に開始だからといって、4時に物事が開始するためしがない。
しかも、出演のデザイナーは「デリーやムンバイも含まれる」とのことだったが、聞いたことのない名前ばかり。ま、わたしがよく知らんだけ、と言えばそれまでだが。
それにしても、いったいわたしは、何時に、エレクトロニック・シティへと赴けばよいのだろう。片道1時間半程度。これじゃもう、夕飯にも間に合わないじゃないか。なんかもう、毎度毎度、わけのわからんインドの日々だ。
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