海と山に抱かれた山陰地方の小さな女子大。地元の福岡で、高校の国語教師を目指して日本文学科の教職課程に進んだわたしは、入学以来、大学と寮とを往復する日々を送っていた。漱石、三島、芥川……。日本文学を読み漁る一方で、海外への憧憬は募った。 バブル経済に賑わう世間とは隔絶された世界で、午後7時の寮の門限に...
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大学2年の夏、米国西海岸で経験した1カ月のホームステイ留学を契機に、地元福岡で国語の高校教師になるという進路を見直した。就職情報が乏しい時代。資料を集めて読み漁り、検討した結果、東京の出版社を目指すことにした。就職活動が解禁になった大学4年の夏。東京のウイークリーマンションに1カ月間、部屋を借りた。...
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初の海外取材先である台湾からの帰国後は、それまで以上に苛酷な仕事が待っていた。寝ても覚めても編集作業に追われる日々が続いていたころ。新年明けてまもない寒い朝、昭和天皇崩御のニュースが届いた。昭和が終わり、翌日から平成がはじまった。バブル経済のピークを迎えていた当時の日本は、不自然に浮かれていた。街ゆ...
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