1959年から1990年にかけて30年に亘り放送された紀行番組『兼高かおる世界の旅』。
高度経済成長期にあった日本に、海外の様子を伝える番組としては、先駆的存在であり、かつ真摯なドキュメンタリーだったのではないかと思う。
日曜の朝、放送されていた番組を、しかしわたしはよく見ていたわけではなく、記憶にあるのは数回だけ。それでも、生涯に亘って旅を続けていた彼女のエピソードは、何かにつけて、耳にしていた。
兼高かおる著『わたくしが旅から学んだこと』を数年前に読んだ。そこには、彼女の旅にまつわるエピソードやライフに対する考え方、次世代への提言などが、簡潔に綴られていた。
なお、同書では言及されていなかったが、彼女の父親はインド人、母親は日本人だったという。
今、パラパラと本をめくっていたところ、目に飛び込んできた見出し。
「かつての旅先を再訪する楽しさ」
同書を読んだ時にはさらっと通過していたページだが、ここ数年、わたしは20数年ぶりに再訪する旅を重ね、同じことを実感していたところだったので、つい読み返した。
3年前のバルセロナを再訪。昨年のストックホルムやプラハ、ドレスデンへの旅は、若い頃には得られなかった感動や感傷が伴った。
「地球規模の視点を持つこと」。これもまた、わたし自身、心がけていることの一つ。
兼高かおるさんを偲びつつ、改めて、読み返してみよう。
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