インドにおける食品宅配オンライン・ショッピングの最大手ビッグバスケット (BigBasket)。そして配車アプリ大手オラ(Ola)。どちらもここ4、5年で事業を急速に拡大、業績を劇的に伸ばしている。
昨夜は、YPOのイヴェントの一環として、その2社の創業者を囲んでのパネルディスカッションが行われた。YPOのイヴェントにはこれまでいくつも参加してきたが、これは格段に興味深く、面白いものだった。
🍎インドのEコマース(オンライン・ショッピング)に関しては、その黎明期より、個人的に積極的に利用しているだけでなく、仕事でも調査をする機会が何度かあり、関心を持っているフィールドの一つだ。特にビッグバスケットについては、毎朝飲む新鮮ジュースのオーガニック野菜や果物を調達すべく、ほぼ毎日利用しており、恩恵を受けている。
🍎会場は同イヴェントを主催したYPOメンバーの邸宅。ラグジュリアスなゲーテットコミュニティ(集合住宅)にある。参加者は40名程度と少なめだったこともあり、イヴェント前後のカクテルや食事の時間にも、スピーカーらと質問を交えつつ、話をできたのが意義深かった。
🍎ビッグバスケットの創始者アビネイは、ボパール出身。IIMアーメダバードを卒業後、三菱コーポレーションで仕事をしていたこともあるという。インフォシスほか、米国、英国でビジネス経験を重ねたあと、1999年には、ファッションサイトを立ち上げてもいる。ビッグバスケットのアイデアは、2003年にバンガロールにあるドイツ卸売スーパー「メトロ」から得たとのこと。
🍎インドにおいては、主婦が「新鮮な野菜や果物」を手に入れるのが困難だという「問題」を「解決する」ためのサーヴィスとして立ちあげ、生鮮食品の即日宅配を実現。エクスプレス便を頼むと2時間以内に希望の商品が手元に届く。
🍎本来は、「商品を手にとって」を重視するインド顧客の傾向に怯まず、配達の際、たとえりんご1個でもその場で返品可能なシステムを構築。カスタマーセンターの電話も機械対応ではなく「10秒以内に人間が電話に出る」という、「かゆいところに手が届く」サーヴィス提供を目指している。
🚕日本のソフトバンク、孫正義氏が多大なる投資をしたことでも知られるオラ。UBERと並ぶインドの二大配車サーヴィスだ。創業者は2010年にIITボンベイを卒業したアンキット。普段はメディア露出が皆無の青年実業家だ。3カ月前に結婚したばかりという若き成功者は、経験を積んだアビネイとは異なり「経験がないからこそリスクを恐れず」「若くてナイーヴだったらこそ」できたことがあったと強調する。
🚕大学のキャンパスの大きな樹の下で友人とオラを立ち上げた。2012年、1日の乗車件数が3000に達した時、みなで大喜びをしたという。それからわずか数年後、1日の乗車件数が150万に達することになろうとは、予測しなかった。インドにおける40歳未満で最も高収入だと経済誌に報道されたアンキット。アビネイにせよ、アンキットにせよ、自身の財力の大きさに左右されることのない「地に足のついた」「謙虚で揺るぎない視点や考え方」を持っているということを、強く感じさせられた。
📎経験を生かしてさまざまな「問題解決」をすべく動いた先に、利益が生まれる仕組みを作り上げたアビネイ。この先もまた、別の問題解決に取り組むという。
📎一方、自分よりも若い人々に向けては「リスクを恐れるな」とメッセージを送りたいというアンキット。
📎インドの底力、潜在力の大きさや、可能性の大きさ、広さを、改めて肌身に感じる夜だった。
ギフトバスケットは、ビッグバスケットの自社ブランド製品のチョコレート&クッキーなどの詰め合わせ。帰り際にいただいた。ビッグバスケットは、一般的なグローサリーだけでなく、サステナブルなエコロジカル製品、オーガニック食品、日用品、FMCG(日用消費財)など6万種類以上の商品を取り扱っている。近々、新鮮な牛乳など乳製品の配達も始めるという。インドでの暮らしが、益々便利に、豊かになりそうだ。