ここ数日、インドに住む友人らからの、マスク自作の投稿が続いていた。わたしも作ろうかと思っていたところ……。
今朝、久しぶりにTimes of Indiaを開き、同紙のキャンペーン広告を読んで、涙が出てきた。いろいろな感情が渦巻いて、朝から泣けた。
この国の、久しき英国統治から独立する以前の、マハトマ・ガンディらによる独立運動の時代から、ずっと受け継がれている精神が、ここにも表れていると思った。「スワデシ・スワラジ」。
以下、日本語も添えて、紹介したい。
希望を込めて作ろう。
Make it with hope.
信念をもって作ろう。
Make it with belief.
家にあるものを使って作ろう。
Make it with whatever you have at home.
デュパタ(大判のスカーフ)、ハンカチ、手ぬぐい、ターバン……何を使ってもいい。
Use a dupatta, a hanky, a gamcha or a turban. Use anything.
清潔であれば、なんでもいい。
Just keep it clean.
緑にピンク、黒に黄色、あるいはなにか、斬新なものを。
Try something green, pink, black or yellow. May be something new.
創造しよう。
Be creative.
自分らしさを、この戦いが意味するものを、表現するために。
Make it to show who you really are and what this battle means to you.
闘うために作ろう。
Make it to fight.
守るために。
To protect.
救うために。
To save.
とにかく、作ろう。
Just make it.
きっとやれる。
Make it happen.
考えているんだ、ということを示すために。
Make it to show you care.
変化をもたらすために。
Make it to make difference.
今日、作ろう。
Make it today.
インドのために、作ろう。
Make it for India.
https://timesofindia.indiatimes.com/maskindia
以下、「スワデシ・スワラジ」について、過去の記録を転載。
ボンベイ(ムンバイ)では「冴えない」弁護士だったガンディ。仕事で南アフリカに渡った際、人種差別を目の当たりにしたことから、民族主義に目覚め、公民権運動に身を投じる。20年以上の歳月を経て故国へ戻ったガンディは、インド全国を列車で旅し、その広大な国土、膨大な人口、それを支えるべき農作物や手工芸品の重要を認識する。
「非暴力、不服従」といった「サティヤグラハ」という思想に並んで、彼が掲げたスローガンに、「スワデシ、スワラジ」がある。スワデシは「国産品愛用」を、スワラジは「自主独立」意味する。
当時、インドで生産された「木綿」の多くは英国に輸出、機械による大量生産で画一的な衣類が製造された。それらは逆輸入され、廉価でインド国内で販売されるという「植民地経済」が横行していた。これによって困窮したのは、インドの農民、職人たちだ。木綿に限らず、あらゆる農作物、手工芸品は、守られるべき、尊ばれるべきものとして、ガンディは「スワデシ、スワラジ」を叫んだ。
自分たちの衣類は、自分たちで紡ぎ、織ろう。英国の製品をボイコットしよう。
ガンディは自ら、木綿を手紡ぎ車(チャルカ)で紡ぎ、その糸で、布を織った。不揃いの、無骨な、それでいて手織りの温もりが生きる布、それがカディ (Khadi)だ。ガンディはそれを身にまとい、自らのトレードマークとした。手紡ぎ車はまた、1947年に印パが分離独立する以前、インド国民会議派が採用した旗のシンボルにもなっていた。
近代化の波にもまれながらも、歳月を重ねてなお、インド各地で手工芸が尊ばれ、多くのNGOがアルチザン(職人)の仕事を支援している。またデザイナーズブランドのなかには、伝統的な手法が生きたテキスタイルを利用するところも少なくない。自国の文化を誇りに思い、同時に守ろうとする姿勢の表れだともいえる。