本日4月3日朝、モディ首相が国民に向けてメッセージを発表しました。以下、英文の要約を、さらに日本語で意訳しています。
* * *
国を挙げてのロックダウンを始めて9日が過ぎました。この期間、インドはかつてない規律正しさや奉仕(サーヴィス)が見られました。
いかなる状況下でも、ソーシャル・ディスタンス(人と人との距離)をとりましょう。それが新型コロナウイルスの連鎖を断ち切る「唯一の万能薬」です。ラクシュマナ・レーカー(*)を超えてはなりません。
我々は一人ではありません。13億人が一緒になって、ともに新型コロナウイルスと戦いましょう。
ひとつお願いがあります。4月5日(日)の午後9時、家中の電気を消してください。そしてバルコニーや玄関先で、9分間、ディヤ(オイル・キャンドル)やトーチ、あるいはモバイルフォンのライトを灯してください。
その際、道路や外に出ないでください。バルコニーか玄関先に立ち、ソーシャル・ディスタンスを取ってください。闇に光を灯すことで、わたしたちは、ともに戦うべき相手が何なのか、見えてくるはずです。
ともに、新型コロナウイルスという「闇」と戦いましょう。ロックダウンを尊重してくださって、ありがとうございます。
* * *
*ラクシュマナ・レーカーとは、インドの抒情詩『ラーマーヤナ』の中に出てくるエピソードです。悪魔を退治すべくランカ島へ向かう主人公ラーマ王子とお妃シーター、そしてラーマ王子の弟ラクシュマン。
ラーマー王子が不在時、ラクシュマナがシーターを守るため、「お妃様、この線から外に出ないでください」と地面に線を引きました。これを「ラクシュマン・レーカー」と言います。
しかしながら、シータはラクシュマンの外出中に、この線を超えてしまい、悪魔ラーヴァナに連れ去られてしまいます。
ラクシュマナ・レーカーは「超えてはならない制限ライン」、結界のような意味合いで使われます。モディ首相がロックダウン宣言をしたときにも、「みなさんの家の戸口の前に、ラクシュマナ・レーカーを引きなさい」と言いました。
わたしは個人的に、インドは神話世界と現代社会、原始と先端が共存している国だと思っています。これを機会に、『ラーマーヤナ』をお読みになることをお勧めします。インド世界の理解に役立つヒントが詰まっています。