Instead of 7 books in 7 days, I do 7 books in 1 day.😁
Thanks, Devika!
友人のデヴィカより託された7冊7日。ルールに従わず(!)、一気に1日7冊、ひとりで完結します。
(1) DALI/ L’ ART du MONDE (Published mid 1960’s)
世界美術全集『ダリ、シャガール』
文字を読めるか読めないかの3歳のころ。自宅の書棚の最下部からひっぱりだして眺めた絵画全集。写実的な風景画や静物画に興味があった。中でも「写真みたいにきれいなのに、現実ではありえないような状況が描かれた不思議なダリの絵」は 、幼心を射抜いた。20代後半、欧州を3カ月間、列車でひとり放浪旅したとき、ダリのふるさとであるフィゲラス、そして彼が愛するガラと暮らした海辺の町カダケスを訪れた。紺碧の空を仰ぎつつ、息を切らして丘にのぼり、高台から絵の中の光景を見下ろした瞬間の感激は、忘れられない。
(2)『三四郎』夏目漱石
“Sanshiro” Soseki Netsuke
「囚われちゃ駄目だ。いくら日本の為を思ったって贔屓の引き倒しになるばかりだ」
18歳のころ。下関の田舎の、学生寮の4畳の部屋に寝転んで、ひたすらに読んだ文学小説。海外への夢を募らせに募らせていたころ。その2年後、20歳の時、はじめての海外旅行、ロサンゼルス郊外で1カ月のホームステイをして、新しく生まれ直した気がした。あの夏の延長線上に、今こうして異国で暮らす自分がいる。
(3)『夜と霧』ヴィクトール・フランクル
“Man’s Search For Meaning” Viktor Frankl
大学のころ。文章法の教授に勧められた読んだ。人間の、究極の、残虐を見た。老若男女問わず、身ぐるみ剥がされ、真っ裸にされて全身を消毒された後、囚人服を着せられたユダヤの人々。その写真があまりにも、衝撃的だった。「裸一貫」の自分には、なにができるだろう……という問いかけの原点。
(4)『けものたちは故郷をめざす』安部公房
“Beasts Head for Home” Kobo Abe
高校時代の教科書にあった短編『赤い繭』を読んだ瞬間、完全に引き込まれた安部公房の世界。大学の卒論のテーマは、彼の「変身譚」と「故郷喪失」だった。満州で終戦を迎えた彼の経験に基づいて描かれた小説。ソ連軍から逃がれ、満州の荒野を故国へ向かってひたすら南下する。この小説は、わたしをモンゴルのゴビ砂漠へ導くひとつの契機となった。
(5)『シッダールタ』ヘルマン・ヘッセ
“Siddhartha” Hermann Hesse
1996年七夕。夫となるアルヴィンド・マルハンと、マンハッタンのブロードウェイ沿いにあったバーンズ&ノーブル4階のスターバックス・カフェで相席になった。それがきっかけで初めて夕食に出かけた帰路、うら若き23歳の彼が勧めてくれた本が、『シッダールタ』だった。英文を読むのは時間がかかるので、翌日、ロックフェラーセンターの紀伊國屋書店に立ち寄り購入、帰路、シェラトンホテルのロビーラウンジで、一気に読んだ。未知なるインドが、ブッダが、迫った。
(6)『Interpreter of Maladies』Jhumpa Lahiri
『停電の夜に』ジュンパ・ラヒリ
ベンガル系インド人として英国に生まれ、米国に移住した著者。彼女の作品に滲み出るインドに惹かれた。我々夫婦がインドに移住する前。インドへの関心を募らせる要素の一つだったかもしれない。長編『その名にちなんで』は、映画化され、先日他界したイルファン・カーンが主役を務めた。
(7)『ブリタニカ国際地図』1974年発行
BRITANNICA INTERNATIONAL ATLAS
今とは異なる国境、国名が散見される古い地図。東西ドイツがある。ソビエト連邦がある。この分厚い地図を広げ、旅先を決めた若かりしころ。「点ではなく線」の旅がしたいと、ゴビ砂漠を列車で移動する旅を決めたのは、この地図で、鉄道が走っていることを確認したからだ。北京からウランバートル。ウランバートルからイルクーツク、モスクワへと連なるシベリア鉄道。その地図上の、細い1本の線を頼りに。つくづく、無謀な冒険だった。
あんな旅を、いつかまたできるだろうか。