早朝の雨天が嘘のように、昼ごろからは晴れ間が広がったムンバイ。視察旅行と自分自身の回想旅行を兼ねての1日は、極めて濃度が高かった。
バンガロールを拠点にインドでビジネスを始めてから、今年でちょうど10年になる柴田氏。彼からの依頼で、彼と、彼のもとで修行をしているHanaさんを案内する。
2003年に初めて降り立って以来、心惹かれてやまないムンバイ。住んでいた2008年からの2年間は、日々ブログに記録を残してきたし、以降も仕事やプライヴェートで訪れるたび、大切な場所を再訪、紀行を記してきた。ネットの海に眠る歴史は、紐解くにたやすく、たちまち過去を検証できる。
昨日は、個人的に思い入れのある場所を中心に案内した。この世を去った人々を偲びつつ、それは歳月の流れを感じさせる時間でもあった。ひとつひとつの場所について、綴っておきたいことがたくさんあって尽きない。
とりあえずは、場所の名前と写真だけも、残しておこう。
◉ムンバイ日本人墓地 Japanese Cemetery
1908年に建てられた日本人墓地。ずっと墓守をしてくれていたヤショーダヤおばあさんは、昨年8月、他界されていた。一隅のバラックに暮らす、今では息子夫婦が、管理をしてくれている。
◉ドービーガート Dhobi Ghat
ムンバイの一大洗濯場。独自で洗濯の設備を持たない、ローカルのホテルや病院などのリネン類を洗濯する。ダッバーワーラー(弁当配達人)同様、超絶アナログなシステムが構築されている。
◉クロフォードマーケット Crawford Market
英国統治時代に創設された南ムンバイ最大の市場。周辺の混沌とは裏腹に、ヴィクトリアン・ゴシックの建築物が壮麗。
◉ブリタニア・レストラン Britannia & Company Restaurant
1923年創業のIrani café。ムンバイに多く暮らすパールシー(ゾロアスター教)のレストランの老舗で、昔日の面影を残す内装が、旅行者からの人気も集める。
◉ヤズダニ・ベーカリー Yazdani Bakery & Restaurant
2003年、初めてムンバイを訪れた際、街を散策していたときに、パンを焼くいい匂いにひかれてたどり着いた店。思い出多き、ここもまたパールシーのカフェ。顔なじみだったオーナーの2兄弟は、この3年間のうちに二人とも、他界しており、カフェは休業。パンだけを販売していた。この古き建物は、今から百年以上前、日本の銀行が入っていた。
◉チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅 Chhatrapati Shivaji Terminus
英国統治時代の1887年に完成した中央駅。こちらは、ヴェネツィア・ゴシック建築の優美な建築物で、2004年にユネスコ世界遺産に登録された。
◉フォート&カラ・ゴーダ界隈散策 Fort & Kala Ghoda
ビジネス街、新旧の店舗に飲食店、アートギャラリー、キリスト教会にユダヤ教会……。狭いエリアにさまざまな要素が凝縮された場所。
◉カラ・ニケタン Kala Niketan
わたしがムンバイ在住時から、何度となく訪れてきたサリー&テキスタイルの専門店。お気に入りの黒地に花柄パールシー刺繍のサリーは、10年以上前にここで買った。
◉タージ・マハル・パレスホテル The Taj Mahal Palace Hotel
2003年、初めてムンバイを訪れた際、このホテルに滞在して以来、個人的にも多くの思い出が詰まった場所。2008年11月26日のムンバイ同時多発テロのことを、思い出さずにはいられない。
◉マスク MASQUE
ムンバイで最もホットなレストラン。オーナーのアディティは、これまで何度も記してきた通り、バンガロールのARAKU COFFEEのダイニング・メニューをマネジメントしている。創造性溢れる10コースメニューを、ペアリングのワインやカクテルと共に味わう。身も心も満たされる、最高のディナーであった。
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