まだ米国に暮らしていたころ、2003年12月に、初めてバンガロールを訪れた。あれから約20年。当時の面影がそのまま残る場所と、著しく表情を変えた場所とが、モザイクのように混在している。
ライフスタイルの変貌ぶりを一つ一つを説明すれば、枚挙に暇(いとま)がない。外食産業もまたそのひとつ。特にCOVID-19後の変化には目を見張るばかり。数カ月、いや数週間単位で、栄枯盛衰が展開されている。
移住当初は、さまざまな分野で市場調査の仕事をしていたが、今はもう、一つのジャンルを追うだけでも膨大な情報量となってしまう。「自ら足を運んで体験する」ことを基本的な指針としている身としては、一人ではとても調査しきれない状況だ。
昨日は、YPO(グローバル組織)が主催するヴァレンタインズ・ディナーに参加した。会場は数週間前、MGロード沿いにオープンしたばかりの話題のレストランLupa。バンガロールで古くから人気のあるレストランOlive Beachとその系列店で腕を振るってきた名シェフのManu Chandraが手がける店だ。
店名のLupaは、ローマの創始者であるロムルスとレムスを育てた雌のオオカミ「ルパ・ロマーナ」から取られており、それがアイコンとなっている。
MGロードから一歩、敷地内に入り込むと、そこには別世界が広がる。地中海沿岸の都市を彷彿とさせる開放的なテラス席。一方、店内に入れば、高い天井、広々とした空間に、アールデコのテイストが散りばめられている。
同店を取材した建築誌「AD (Architectural Digest)」の記事によると、「インドの大理石や花崗岩、レンガ、テラコッタ、木材などを使用」しつつ、「ニューヨークの1920年代のアールデコを取り入れたトスカーナ風の内装」だという。
ニューヨークといい、トスカーナといい、高い天井といい、個人的に好きなテイスト。しかしながら、わたしが初めて店内に入ったときの印象は「バルセロナ!」だった。
もうしばらく訪れていない欧州に思いを馳せる。
さて、先日「敗者復活ファッション」について記したが、今日は中でも「最古級」の服を引っ張り出してきた。ジャケットもスカートも、1996年にニューヨークで買ったものだ。昨今のインド女性は、露出度も高く、世代を問わず、ミニスカートを履く女性も珍しくない。
レザースカートは夫が気に入っていたこともあり、捨てられずにいた。取っててよかった😁
同席になった親しい友人夫妻と話をしているうちに、彼らもまた1996年に出会い、2001年に結婚したとのこと。偶然の歳月の重なりにご縁を感じる。
💕
ワインも料理も、なかなかに美味。今回は決められたコース料理だったので、今度は自然光が楽しめるランチタイムに、改めて訪れたいと思う。
💕
ところで、デザートで出されたチョコレート・スフレを一口食べて、記憶が瞬時、バルセロナに飛んだ。1989年、わたしが旅行ガイドブック『スペイン・ポルトガルの本』の取材で訪れた時に気に入った店、Ca l'Isidre。その後、1998年に夫と地中海沿岸を旅したとき、この店に連れて行った。
そこで食べたチョコレート・スフレは、我々夫婦にとって、未だに「史上最高の味」なのだが、その味を、思い出したのだ。
夫も、「Ca l'Isidreみたい!」と目を輝かせて食べていた。
やはり、バルセロナ、だった。
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