図らずも急遽、滞在することになったシェラリゾートホテル白馬村。こんなにも豊かな時間を送れるとは想像していなかった。好天にも恵まれて、わたしたちは実に幸運だ。
念のために記しておくが、ここは決してモダンにラグジュリアスなホテルではない。前述の通り、建築物自体の古さは否めないし、洗練された風情というわけでもない。個人的に、米国シエラネヴァダ山脈界隈のロッジやホテルを彷彿とさせる懐かしさから、愛着が湧いたともいえる。
部屋から温泉棟へ向かうには、一旦、外へ出ねばならないので寒過ぎて震えるし、ラウンジも昭和感が強く、寂(さび)と寂(さび)れの境界線が曖昧。とはいえ、四季折々の大自然を肌身に感じられるという、すばらしい周辺環境があるので、少々の不都合があっても、リピーターは少なくないだろうと察せられる。
我が家の「月光ライブラリ」よろしく、ここに大きな木のテーブルを備えた居心地のいいライブラリがあったり、心地よい音楽が流れる中、旅人同士が語り合い安らげるバーなどがあったら最高だと思う。
さらには、前日のホテル同様、チェックアウトが10時というのは、いかにも落ち着かない。これは日本の宿のスタンダード? チェックアウト12時に慣れているわたしたちには、10時が早過ぎて、朝が気ぜわしい。有料で2時間延長の12時チェックアウトにしてもらい、朝風呂や散歩、くつろいでの朝食を楽しんだのだった。
ホテルの背景が気になったので、チェックアウトまでの時間、ネットであれこれと調べた。「ホテルシェラリゾート白馬」は2023年で創業50年。このリゾートの建築物は30年足らず前に誕生し、徐々に拡張してきたとのこと。今も一部改築工事が行われていた。読み進めるうち、次の文章に目がとまった。
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富原 玲奈 代表取締役社長
1998年生まれ23歳。長野県白馬村出身。慶應義塾大学 総合政策学部卒業。大学卒業後は進学をする予定でしたが突然家業のホテルを継ぐことになり、2021年5月株式会社シェラリゾートホテルズ代表取締役に就任しました。
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非常に、興味深い。チェックアウトのとき、スタッフと話をしつつ「お若い女性が社長に就任されているのですね」と、告げたら、「あ、今ちょうど、あちらで打ち合わせしています」と、ロビーの一隅を指差す。
複数名で真剣に話し合いをされているところに乱入するのは憚られたが、夫が「せっかくだし、挨拶したほうがいい」という。一瞬、日本人的にためらうわたしに、「ぼくは@@(グローバルに著名な実業家)と、どこで挨拶したか知ってる? ムンバイの空港のトイレだよ!」と、古い話を持ち出す。
仕事ができる人は、一瞬の出会いの好機を逃さないのだ。
我が夫、概ね猫煩悩なおじさんというイメージだが、仕事に関する頭脳は明晰で、できる男なのだ。(この文章が、どのように自動翻訳されるのか、不安)
確かにゲストとしても感想を伝えたほうがいいと思い、お声をかけたのだった。富原さんと、ホテル関係者の方にご挨拶をし、簡単にホテルの感想を伝えたあと、Hakuba Craft のことを話し、とてもおいしいビールだから、ここでもぜひ販売されてはどうかなどと関係者の如くアピール。
そうして、「紅葉の季節に、来ます!」と伝えた。
というわけで、秋にまた、来ることになりそうだ。
◎シエラリゾート白馬
https://sierrahakuba.jp/
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