🇮🇳これから、久々ニューデリーに飛ぶ。荷造りも終えて準備完了。少し時間があるので、2003年の記録発掘シリーズの③をアップロードしておく。情報がほとんどなかった時代に、試行錯誤しながら活路を見出した経験は、時代が変わっても、何かしら、誰かの役に立つ情報があるような気がしている。
毎度記しているが、ニューヨークでの起業と就労ヴィザの自給自足、フリーペーパー出版の経緯や、経営維持の困難やトラブルなどのエピソードは、「自分史動画」で語っているほか、拙著『街の灯』(まちのひ)にも残している。
●研究論文書きあげ、プレゼンテーションやり終え、学生生活が終わった。(2003年12月14日)
サンクスギビング・ホリデー明けの翌週は、本当に気合いを入れて勉強をした。前号にも書いたが、初日のプレゼンテーションは、「インド経済のこれから」がテーマ。そもそもはインドの「ブレインドレイン」(頭脳流出)について研究論文を書くつもりだったが、書き始めているうちにも、米国企業がインドへと進出し始め、米国在住のインドの「頭脳」が帰国し始めている、つまり「ブレインサーキュレーション」(頭脳循環)現象がメディアにて顕著に取り上げられはじめた。
この2カ月の間に、ニューヨーク・タイムズは台頭し始めたインド経済についてを数回取り上げ(これまではインドの天災とか貧困とか奇習などばかりを取り上げていたのにも関わらず)、さらには、論文の「提出日前日」に、ビジネス・ウィーク誌が「THE RISE OF INDIA(インドの幕開け)」というタイトルで、10ページ以上に亘る特集を組んでいるのを発見!
読んでしまったら、気分的に書き直さねばならなくなるのは必至だから、仕方ない、気づかなかったふりをして、何事もなかったかのように提出しようとしたら、翌日、プロフェッサー(教授)が、なんとビジネス・ウィーク誌を持って授業に出てきた。
「ミホはすごくいいタイミングで、インド経済についてをリサーチして、びっくりしたわ~!」
と、褒め上手な教授に着眼のよさを褒められてうれしかったが、しかし、やはり新しい情報も取り込むべきだと諭され、一人、提出期限をのばしてもらい、新たに情報を加えた。はっきりいって、もういや! というくらいだったが、今となっては、やり遂げてよかった。
論文はインドに持っていって、インドの家族に見せようと思う。ふふふ。
そんなこんなで、水曜日は論文のテーマである「インド経済のこれから」を、木曜日は、別のクラスにて「アジアのブレインドレイン」(論文の二番煎じ)を、そして最後のクラスでは「アントレプレナーシップ(起業家精神)」をやった。
アントレプレナーシップのプレゼンテーションの準備は、時間がない云々の域を超え、かなりの情熱で準備した。テーマは「外国人が米国で起業する方法」。これにケーススタディ(事例研究)として、自分がニューヨークで起業した経緯を織り交ぜつつ、語ったのである。
何しろ時間が限られていたので、ずいぶんと端折ったが、これはもう、口頭説明の準備をせずとも、いくらでも言葉が出てくる。
そしてプレゼンテーション。そもそもは人前で話すのは、日本語ですら緊張するタイプだったけれど(最初の数分がとても苦手。しばらくすると大丈夫)、これまで、クラスでも何度かスピーチをさせられることがあり、だから4カ月のうちにずいぶんと慣れてはいた。
しかし、パワーポイントを使ってのプレゼンテーションは初めてだったから、うまくいくかどうかと、初日は少し緊張していた。2日目にはずいぶん慣れ、3日目にはもう、人前でしゃべるのが楽しく感じられるくらいだった。たいへんな急成長ぶりである。
まだまだ文法の表現などに問題はあるし、的確な話し方や発音などは練習しなければならないけれど、自分でも最後のプレゼンテーションは、かなりうまくいったと思う。クラスメイトたちも非常に興味を持ってくれて、質問も多かった。
1時間でもしゃべり続けられると思うくらい、次々に、訴えたいことが出てきた。むしろ不完全燃焼だったくらいだ。
4カ月間。目に見えて、なにかがみるみる変わった訳じゃない。けれど、今まで、読むのが億劫だった新聞を、ずいぶんと気軽に読めるようになった。英語で文章を書く際の気負いもなくなった。話すときに、新しい単語を使おうと努力するようになった。
そして、これから、どうやって勉強をし続けていけばいいのか、というヒントを得た。
それより何より、わたしはクラスメイトに恵まれていた。本当に、すばらしい人たちに囲まれて、勉強ができたことが、何よりの財産となった。ここで、クラスメイトたちの研究論文のテーマを紹介したい。
◎米国移民の一時保護ビザ
コロンビア人女性(ロイターのジャーナリスト)
◎ブランド・ネームの威力
メキシコ人女性(デザイナー志望の学生)
◎インターネット世代
アルゼンチン人女性(心理学者&二児の母)
◎21世紀の米国外交
韓国人女性(テレビレポーター→米国大学に進学)
◎コソボ紛争における北大西洋条約機構の役割
コソボ人女性(かつて国連勤務、一児の母&妊娠中)
◎韓国の若者文化にみるグローバリゼーションの影響
韓国人女性(弁護士志望学生)
◎台湾人のセルフ・アイデンティティ(自己認識)
台湾人女性(マスコミ関係)
◎大量破壊兵器規制
韓国人男性(政府機関勤務、本日!一児の父になる予定)
◎米国におけるスモールビジネスへの公的支援
日本人男性(金融機関勤務)
◎日本の英語教育に対する提案
日本人女性(英語教師)
◎アフガニスタン難民への国際援助
日本人女性(通訳)
◎メキシコにおける児童就労
メキシコ人女性(ケイタリングビジネス計画中)
◎インド経済のこれから
日本人女性(出版社経営、ライター)
◎イスラム法における女性の権利
サウジアラビア女性(元教師、一児の母)
このテーマをざっと眺めるだけでも、どんなにユニークな面々が揃っていたかが伺い知れるかと思う。テーマそのものは、少々堅苦しいが、みな気さくで朗らかで、ひとり一人のことを書き綴って紹介したいほど、魅力的な人たちだった。
🇺🇸坂田マルハン美穂のDC&NYライフ・エッセイ Vol. 107 (12/14/2003)
https://museindia.typepad.jp/library/2003/12/12142003.html
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