2004年2月、当時、ワシントンD.C.に住んでいたわたしは、完成してまもないスミソニアン航空博物館(スティーブン・F・ウドヴァーヘイジー・センター)を訪れた。スミソニアンの博物館群は、ワシントンD.C.市内にあるが、2003年12月、この別館が、ワシントン・ダレス国際空港の近くに新設されたのだ。
特に航空機に関心があるわけでもないわたしが、オープンしたばかりのそこに足を運んだのには、理由があった。
エノラ・ゲイを、見たかったのだ。レプリカではない。広島に原子爆弾「リトルボーイ」を運び、投下したB-29、エノラ・ゲイの「実物」だ。あの日、目にした光景。受けた衝撃と巡る感情は、今でも鮮明に蘇る。
2年前に保存版ブログ『深海ライブラリ』を作り、大切な記録は、そこに残すことにした。以下の記録を、ぜひご覧いただければと思う。
🌏広島に原爆を落とした戦闘機「エノラ・ゲイ」を、この目で見たときのこと。
●エノラ・ゲイ (FEBRUARY 27, 2004)
思いがけぬほど、その飛行機は大きく、そして美しかった。
そうして、醜くも、忌々しくもなかった。
そのことが、何よりも、衝撃だった。
澄み渡った青空のただ中を、太陽の光をキラキラと反射させながら、この銀色の飛行機は、飛んだだろう。
そうして、胴体をぽっかりと開いて、新しい爆弾を落とし、
そうして、夥しい数の人々を、燃やしただろう。
あの朝の、空の下の風景を、ここでは知る術もなく、
多分知ろうとする人もなく。
ただ、この飛行機は、半世紀を経て、ナチスの戦闘機や、
日本の戦闘機を睥睨するように。
愛らしいほどの、神風特攻隊の、小さな戦闘機などを。
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