疲労困憊で眠りについて、目覚めれば夜明け前。早寝早起き。アルナーチャラ山を望む孔雀の広場で、日の出を見たくて起き上がる。夫とともに、8月31日の、やわらかな日昇を眺める。
朝食後、夫はサットサンヘ出かけた。わたしは今日もまた、マッサージでも受けようと思うが、夕方までいっぱいだという。ホテル(ちょっとしたリゾート風)にて、今日はゆっくりくつろぎたいと思っていたが、あいにく、ここはあまり気持ちが落ち着かない。
Sri Ramanasramamへ行こう、と閃く。ラマナ・マハルシ(バガヴァーン)のアシュラムだ。
「真我の探求」を促した沈黙の聖者、ラマナ・マハルシは、16歳のときから他界するまで、生涯、このアルナーチャラ山の麓で過ごした。
その彼の魂の余韻……のようなもの、と表現していいのだろうか。ともあれ、ラマナ・マハルシの教えを自らに受け入れ進む人々が、世界各地から、この地にやってくる。アシュラムに滞在し続けている日本人もいらっしゃる……ということを、昨日、たまたまカフェでお会いした日本人青年に聞いた。
さて、またオートリクショーを飛ばして、アシュラムへ。……暑い。神聖な場には裸足で入らねばならず、ここもまた、建物を行き来するだけで、足の裏が焼けるようだ。
ラマナ・マハルシが過ごしていたという瞑想の部屋。黒い御影石の床が冷たくて心地いい。彼の写真が掲げられた、彼のベッドの傍らに座り、しばし瞑想。
自分の中から沸き起こった「微笑み」と「慈愛」を大切にしたい。
ランチを取ろうと、Googleで飲食店を検索。選んだその店、通された席は、アルナーチャラ山を眺める心地よい場所。ここでしばらく過ごそう。ランチだが、卵が食べたくなってマッシュルームとほうれん草のオムレツを注文。おいしい。
ようやく、本を開く気分になってきた。ここから、始める。
コーヒーを飲みつつ、本を読んでいたら、サットサンを終えた夫から連絡。合流したいというので場所を知らせた。The Dreaming Tree.
やってきた夫は、少し複雑な表情。実は、今日の夜、わたしの誕生日を祝うために、この店に予約を入れていたらしい。ケーキも頼んでいたらしい。
夜、改めて来るのもなんだし、遅めのランチで、すでにお腹いっぱいで夕飯もそんなに食べられる気がしない。もう、今、祝おう、ということで、ケーキを頼んで、ハッピー・バースデイ!
用意されていたチョコレートケーキは、とてもおいしかった。2人して、あっという間に食べた。
やがて大雨が降り始めた。テラスに網戸が施されただけの店内に、雨が降り込んでくる。そのダイナミックな様子を、気分よく眺める。涼風が心地いい。
雨が小降りになったころ、オートを呼んでホテルに戻った。ホテルの部屋は、精一杯の祝福で迎えてくれた。ケーキにはフルネーム。夫とわたし、一口ずついただいて、あとはスタッフのみなさんに託した。
夫からのプレゼントは、本とノート。
After the Rain。
自分の心に尋ねることを、ひたすらに示唆し続けたラマナ・マハルシの、数少ない言葉がちりばめられている。
After the Rain。それは、バンガロールの、空(空港)に近い、わたしが「終の住処」と決めた我々の新居の、コミュニティの名前でもあり。
After the Rain。雨あがり。
愛しき響き。心に虹。
図らずも、すべては定められし道の上にて。
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