ほぼ毎週火曜日の午前中に開催されている女性の勉強会。今週は、バンガロールに昨年誕生したミュージアム「MAP/ Museum of Art & Photography」にて開催された。勉強会のメンバーのひとりが、このミュージアムのディレクターだということもあり、彼女直々に、現在開催されている特別展示会を案内してくれたのだ。
実はわたしは、すでに先日、この展示会に訪れており、重厚な写真集も購入していた。しかしながら、前回はゆっくりと眺める時間がなかったこともあり、改めて参加した次第。3月まで開催されている特別展示会「The Kanchana Chitra Ramayana of Banaras」。インド二大叙事詩の一つである『ラーマーヤナ』。その物語と情景を描いた黄金の細密画とがセットになった豪華な書籍のオリジナルの一部が、ここで公開されているのだ。
インド二大叙事詩の一つである『ラーマーヤナ』。『マハーバーラタ』に並び、インド人の多くが知る壮大な物語である。先日、アヨーディヤーのヒンドゥー教寺院である「ラーマ寺院」の建立が話題になったが、ラーマーヤナの主人公であるラーマ王子の故郷が、そのアヨーディヤーである。王国を追放されたラーマ王子と弟のラクシュマン、妻のシータ姫が旅をする中、シータ姫がさらわれ、途中、ハンピで出会った猿の軍団(代表はハニュマーン)と共に、ランカ島(現在のスリランカ)へ悪魔(鬼)退治へ行くという物語。
日本の「桃太郎」の原型であるに違いないこの『ラーマーヤナ』は、古代インドの詩聖とされるヴァールミーキ(紀元前500〜100年ごろ)によって編纂され、長短さまざまなヴァージョンによるストーリーが書き残されている。わたしは、日本語に訳された簡略版を読んだ限りであるが、これを読むと、インドの精神世界やヒンドゥー教世界の片鱗が、少し腑に落ちる。
多くのインド人のDNAに染み込んでいるであろうこの壮大な物語は、今なお、口承、書籍、絵本、アニメーションなど、さまざまな媒体によって語り継がれ、現在に至る。この黄金の本は、そんな中でも最も高品質な媒体といえるであろう。バナーラス(ヴァーラーナシー)の王宮に納めるべく製作されたというこの本。
この黄金の細密画が施された「カンチャナ・チトラ・ラーマーヤナ」について、関心のある方は下部のリンクにアクセスされたし。1796年から1814年までの18年間、さまざまな流派の画家たちによって手掛けられたこの本。見開きの左側のページが文字、右側のページが絵画で構成されており、絵画数は548点にものぼるという。
そのうちの約80ページが一堂に会するこの展示会。とにもかくにも、一つ一つの絵画の「緻密さ」に圧倒される。と言うか、見えない😅 遠近両用のコンタクトレンズで出かけたのだが、細部を見ることができず。ゆえに、絵画集を購入し、拡大された絵柄をしみじみと眺めたのだった。それらを眺めてより一層、その緻密さに驚かされる。
実は来週、ミューズ・クリエイションの活動のひとつであるACT MUZのインターン生が、MAPを訪れたいというので、メンバーに声をかけ、再訪することとなった。次回は裸眼&老眼鏡、あるいは虫眼鏡を持参して、じっくりと眺めたいものである。
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これはまた、ヒンドゥー教世界における圧倒的な芸術につき。
そもそもは、仏教遺跡があったとされるアヨーディヤー。そこがのちにヒンドゥーの聖地となり、イスラム教の聖地となり……数百年に亘り、数々の諍いがあった。人々の血が流れた。今、ようやく、争いに終止符が打たれようとしているのだ。ということを、とりあえず、伝わる人に、伝えておきたい。
🎨出会いのころを思い出し、既知の人々と再会。McKinsey のアラムナイ@MAPミュージアム(2024)
https://museindia.typepad.jp/2023/2024/01/map.html
🎨MAP/ Museum of Art & Photography バンガロールに芸術の拠点が誕生。(2022)
https://museindia.typepad.jp/2022/2022/12/map.html
🛕アヨーディヤーのヒンドゥー教寺院「ラーマ寺院」再建オープンを巡って(2024)
https://museindia.typepad.jp/2023/2024/01/hindu.html
🐒ハンピ/地球創生から現代まで。複数の次元を時間旅行(旅する前に読んでほしい!)
https://museindia.typepad.jp/2021/hampi-journey/
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