今、バンガロールから約250kmほど西に走った先にある、サクレシュプール(Sakleshpur)に来ている。コーヒー農園の只中にあるリゾートで、朝を迎えた。降り注ぐ朝日。無数の鳥らの、賑やかなさえずり……。
毎年恒例の「女子(女史)旅」だ。YPOのフォーラムメンバーと、親睦を深める目的で開催する旅行。このことは、過去に幾度も記しているので詳細は割愛。ともあれ、基本的には年に一度、国内外1カ所ずつ、わたしたちは旅をしてきた。みなの予定を合わせるのは、なかなかに困難。今回は気軽な近場の旅行である。
「観光」とは、光を観ること。我がキャリアの端緒は、海外旅行誌の編集者。1988年11月に初めて海外取材のため台湾へ赴いて以来、公私に亘るすべての旅が、わたしに光を与え続けている。遠い記憶、近い記憶、深い記憶、浅い記憶……。それぞれに陰影はあれど、非日常である以上、旅は五感を刺激して、新たな視座を与えてくれる。
1996年4月に日本を離れて以来、わたしは、ずっと旅を続けているようなものでもある。混沌の日常のなかにも「光を見出す」習慣が、ついてしまった。
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2005年11月にインドへ移住して以降は、毎年、ニューヨークと日本を訪れていた。5月ごろに、ニューヨーク及び欧州への長期旅を、10月ごろに日本への一時帰国をするのがルーティンになっていた。他の旅行はその隙間に入れる。インド国内旅も、「それなりに」実現していたつもりだったが、仕事やプライヴェートで訪れるデリーやムンバイなど都市部への旅が中心。世間によく知られる観光地すら、未踏の場所も多いまま、20年が経とうとしている。
「いつか行きたい」と漠然とした願望の大半は、実現できないまま歳月を重ねる。
その一方でこのごろは、インド亜大陸に「宝石のように散りばめられた知られざる魅力ある地」の多さに気付かされることが多い。雑に扱われ、埃だらけで放置されている宝石が、この国には無数にあるのだということを知る機会が多い。その背景には、COVID-19パンデミックによる国内旅行の増加、道路交通インフラストラクチャーの整備、観光資源の発掘……といった理由が挙げられるだろう。
ソーシャルメディアを通して、人々の旅の記録が拡散され、「ここどこ?」「え、近所じゃない?!」という事態も頻発。行きたい場所のブックマークは増えて増えて、とても網羅できない。
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そんな中、昨日はわたしは友人たちとは別行動で、早朝6時過ぎに家を出た。サクレシュプールへ向かう途中、バンガロール近郊の旅先としてよく知られるシュラヴァナベラゴダ(Shravanabelagola ಶ್ರವಣಬೆಳಗೊಳ)に立ち寄ることにしたのだ。バンガロール中心部から西へ約144km。わずか3時間足らずでたどり着くジャイナ教の聖地だ。
途中のドライヴインで朝食休憩を取りつつの旅。かつて、ドライヴ旅行を避けていたのは、道路交通事情の悪さも大きな理由のひとつだった。しかしながら、このごろは、各地のハイウェイが整備されていて、ドライヴ旅が本当に快適になっている。他国に比べれば、運転のマナーが悪いなど、負の側面はまだまだある。それでも、ふとした拍子に、アメリカ横断大陸ドライヴの記憶が蘇る情景に出くわすなど、過去十数年での進化は目覚ましい。
ひとまずは、ドライヴ旅の情景を残しておく。
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