想像を遥かに超えて、豊かな時間を過ごせた壱岐での3泊4日。壱岐の神々と人々へ感謝の気持ちを込めて、あと2回に亘り、記録を残す。
旅の最終日だった昨日。本当は午後2時発の船で博多埠頭に戻る予定だった。しかし、曇天で行けなかった辰の島クルーズに行きたいという未練が残る。結局、船を午後5時発に変更し、島の滞在時間を伸ばして、辰の島へ赴くことにした。
実は今回の旅、1組だけ、外国人に出会った。サンディエゴから来たという男性二人。わたしたちが鬼の窟古墳で静寂に浸っている時、英語での会話が聞こえた。彼らに、どうして壱岐を知ったのかと尋ねた。プレイステーションのゲームに「Ghost of Tsushima(対馬の幽霊)」というのがあり、その中に出てくる絶景を見たくて、壱岐と対馬を旅することに決めたのだという。
そのとき、彼らを案内していた宿のご主人と軽く話しをしたのだが、辰の島クルーズを強く勧められていたのだった。
「絶対に、上陸したほうがいいです」
と、穏やかに、しかし、力を込めて、彼は言った。
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朝食をすませ、ホテルをチェックアウトし、スーツケースだけを残して辰の島の船乗り場へタクシーで赴く。遊覧船は基本、夏場が中心で、今年は今月末で終了するという。このぎりぎりのタイミングで来られたことも、幸運であった。
昨日もまた、好天とは言い難い、厚い雲が流れ、風もそこそこ吹いていたが、遊覧船は欠航ではない。壱岐島の北端にある辰の島へ向かう途中、東の海を指して、船長が、宗像の沖ノ島が見えるという。
晴天の日でも、滅多に見えることはないというその島。宗像大社の沖津宮がある島で、住人はなく、女人禁制、上陸時には海中での禊が必要。一木一草一石たりとも持ち出すことができないなど、厳密な掟によって守られている神聖な島だ。
それが小さく、肉眼で見られたこともご縁だとありがたく思う。
やがて船は対馬海峡に入り、彼方にくっきりと対馬が見える。船長曰く、曇天にも関わらず、こんなによく見えるのは珍しいとのこと。またしても、ありがたい。
島の周辺は、エメラルドグリーンで透明度の高い海。好天ならば、もっと鮮やかに美しいのだという。初めて訪れるわたしにしてみれば、福岡からわずか1時間の場所に、こんなにも美しい海があったことが衝撃だ。
マンモス岩だの蛇ヶ谷だの潮吹きのスポットだのと、わずか数十分の遊覧の間にも、見応えあるスポットが数々ある。そしてわたしたちは、無人島である辰の島に上陸し、次に船が来るまで、1時間ほど歩くことにした。他の観光客に見送られ、わたしと夫は二人で島へ足を踏み入れる。
日中、管理人の男性が一人いるだけで、あとは誰もいない。信じがたいほどの、リアル無人島。
かなり急勾配の坂道を登り、島の頂上にたどり着いたときの爽快感! 360度の景観が見事すぎて、もはや笑いが出てくる。こんなすばらしいのに、どうして誰もいないの? 謎すぎる。
地球の、天然自然の歴史と、人類の歴史と、日本と朝鮮半島を経て大陸との歴史を、目の当たりにできる海峡。最高。
また、必ず、来る。
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