インドを代表する作曲家であり、環境保護活動家であり、国連親善大使でもあるRicky Kej。一昨日は、彼と彼の率いる魅力的なミュージシャンたちによるライヴを楽しんだ。
Rickyは、ラジャスターン州のマルワリと呼ばれるコミュニティ出自の父と、パンジャーブ州出身の母の間に、米国ノースカロライナ州で生まれた。8歳のときにバンガロールに移り住み、当地の歯科大学で歯学を、さらには社会科学や文学の博士号を取得する傍ら、プログレッシブ・ロック・バンドに在籍して音楽の才能を磨いた……という非常に濃いバックグラウンドを持つ。
やがて作曲家に転身、以来、数千にも及ぶ広告ジングルやカンナダ映画(ここカルナータカ州のローカル言語による映画)の音楽を手がけてきたという。彼の作品は、さまざまなジャンルが融合した多様性に富むものだが、基本はインド各地の伝統音楽が源流になっているようだ。
この夜、Rickyのキーボード演奏に合わせて、麗しき歌声を放つ個性豊かなミュージシャンたちが、全身全霊で会場を音楽で浸してくれた。
地球讃歌もあれば、ロックが効いた神の歌もある。パンジャーブの軽快なリズム、流浪の民を彷彿とさせるラジャスターンの哀愁を漂わせた躍動。スーフィーの巡る旋律。農作物を育む農民たちの大地を渡る歌声とのコラボレーション……。
そして最後は、人類誕生以前、この地の主だった動物たちへの愛を込めた、インドの国歌「ジャナ・ガナ・マナ(インドの朝)」のインストロメンタル……。
さまざまなジャンルの音楽を聴きながら、確信した。わたしはやっぱり、砂漠の、遊牧の、流浪の旋律、ラジャスターンの音楽が好きだということを。昔からの砂漠への憧憬は、変わらず今も心身に染み付いている。Dama Dam Mast Qalandarが流れるや否や、もう、踊らずにはいられない!
毎年2月にラジャスターンのジョードプルで開催されている聖なる音楽祭「Sacred Spirit Festival」。2018年に訪れた。朝から晩まで音楽に浸った、魂を揺さぶられる4日間だった。また行きたくなった。今年はすでに終わっている。来年、8年ぶりに、行きたい。
このときの記録を『深海ライブラリ』ブログにまとめて残しているので、関心のある方はぜひご一読を。
🇮🇳ラジャスターン/ジョードプルの城塞で、聖なる音楽に溺れる。(2018年)
……と、文字にしても、音楽はなにも伝わらない!
ライヴの間、要所要所で撮影した動画をつなぎ合わせた。雰囲気だけでも伝えたく、次の投稿で動画をシェアする。ぜひともご覧いただければと思う。
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