子供のころから、8月のキーワードは、重かった。
空襲、原爆、終戦(敗戦)記念日。精霊流しに走馬灯。打ち上げ花火の恐ろしく、線香花火のいとも寂しき。
入道雲も、蝉時雨も、清流の冷たさも、気が遠くなるような青空の彼方に吸い込まれるようだった。
大きくなるにつけ、敏感な感受は緩やかになり、花火は怖くない美しいもの。終戦は儀式。理屈や事情のお陰で鈍感になりゆき、しかし、それでも、夏は心に迫る。
さて、バンガロールでの日々。緩やかな四季の変化ゆえ、センチメンタル希薄な日常ではあるが、だからこそ小さな変化に敏感でありたいとも、思う。
このごろは、雨が少ないものの、モンスーンシーズンで、夕刻の雨のおかげで、空気は軽く、日中も過ごしやすい。日本の一時帰国から戻る人、日本から出張で訪れている人、異口同音に日本の暑さを語り、当地の過ごしやすさを語る。
さて、このごろは、ミューズ・クリエイションの記録、そして食や猫やらの記録ばかりで、個人的な出来事を記す機会が、減ってしまった。今日は写真を何枚か発掘し、備忘録を含めて記録を残しておこう。
ミューズ・クリエイションをNGOに登録した最たる理由は、明朗会計の具現化。3年のうちに徐々に増えた資金を、自宅の金庫に管理するのでは、いかにも中途半端だ。銀行口座を開設するには組織化する必要があったことから、登録に踏み切った。
PANカード(納税カード)の申請と同時進行で、HDFC銀行にて口座開設の手続きをしていたのだが、PANカードが発行されたことで、無事に手続きの最終段階が終了、小切手も送られて来たのだった。
先日は会計士のオフィスにも訪れ、会計管理に関するアドヴァイスも受けた。諸々の体制が、徐々に整いつつある。と同時に、ミューズ・クリエイションの運営は、今までのように「片手間」にできるものではないとの実感もある。
◎ミューズ・リンクスは、100%わたし個人のビジネスとして存続
ミューズ・クリエイションのNGO化に伴い、わたし自身のミューズ・クリエイションに対する関わり方についても、見直す必要があるように思われた。
金銭的な報酬を伴う、ライターやレポーター、コーディネーターといった本業と、無償労働での慈善活動。この二つを自分の中で区別する必要があるということだ。これまでは、ミューズ・リンクスで実施するセミナー代の一部(多く)を、ミューズ・クリエイションの寄付金として来たが、まずはこれをやめることにした。
ミューズ・リンクスでのセミナーは、あくまでもわたしのビジネスとして行う。
それでなくても、ミューズ・クリエイションに費やす時間やエネルギーの割合が増えている昨今。「そこまで世間に無償で奉仕すべきなのか?」という自分自身の葛藤もある。また、自分自身のキャリアに対する矜持のようなものを、わたし自身が損なってはならないとも思う。
ミューズ・リンクスはあくまでも労働の無償提供にとどめるよう、自分の中で折り合いをつけようと思っている次第だ。
なにやら理屈っぽいことを書いているが「定義付け」は、物事を遂行する上では、非常に大切なことである。特に人を巻き込む活動をするに際しては。
さもなくば、自分自身の、芯が、軸が、ぶれる。
ミューズ・クリエイションの「男組」が結成されたことにより、在籍メンバーは一気に50名を超え、週に1、2回送信している「ミューズ・クリエイション通信」の宛名のヴォリュームもまた、随分と増えた。
帰任される方がいる一方、新しい方が入られる。そのサイクルが、この3年間、本当に滑らかに自然に、続いていることが不思議であり、ありがたいことと思う。無理に多くの人をお誘いするつもりはない。NGOとなってからは、むしろ入りにくいと感じる方もあるだろうし、逆に強い関心を持たれる方もあるだろう。
そんな状況にあって、本当に、ともに「いい空気」を育んでくれる人たちが集まっていることが、それだけですばらしいことだと、このごろは、痛切に思う。
ところで上の写真は先週金曜日のもの。ダンスの先生をされているメンバーから、「ベリーダンス」の講習を受けたのだった。ポーズはなにやら、あやしげだが、それはそれ。腰回り、太もも周辺がパツパツになる感じであったが、非常に楽しかった。
ミューズ・クリエイションのメンバーには、いろいろな技能、キャリアを持った方が在籍されている。異郷の地にあっては、査証のステイタス上、収入を伴う仕事ができない彼女たちであるが、ミューズ・クリエイションを通して、そのキャリアをシェアしてもらっている一例だ。
以前記したところの、ポスチュア・ウォーキングのレッスンもまたその一つだ。
講習費はクラブハウスの使用料を差し引いて、全額をミューズ・クリエイションの活動費に充当すべく、寄付していただいている。このような形で、ご自身の技能をシェアし、その結果として利益を寄付金に……というのは、すばらしい流れだと思う。
ミューズ・クリエイション内でのこのようなレッスン、講習、セミナーなどは、今後もどんどん、メンバー内で企画し実現していただければと思っている。
思い立ったら吉日。すぐに動かなければ、あっという間に月日が流れる。気がつけば間もなく帰任……となる前に、みなさんにおかれては、「前のめり」に活動していただければと思う次第だ。
ところで、来月9月11日(金)は、ミューズ・クリエイション恒例のチャリティ・バザールを実施する。そのフライヤーもできた。毎年、似たような感じだが、敢えて、それはそれ、である。
今年も、ミューズ・クリエイション以外にも、すてきなヴェンダーが10以上、出店される。自分たちの販売もさることながら、お買い物も楽しい一日となる。
4年前に購入していたiPhone4sの調子が、もう2年近く悪かったのだが(←長い!)、ようやく買い替えるに至った。普段は自宅で仕事をしているし、移動の車内や外出先で、さほど使うこともないから、最低限の機能でいいのだ……などと思っていたのだが。
勝手に暴走して文字を入力したり、Facebookで人様のコメント欄に変な顔文字(泣き顔の巨大な顔)などを載せたりなど、ぎょっとすることをしでかしてくれることもあった。
もちろん、リセットしたり、アプリケーションを減らしたり、いろいろと対策を講じては見たが、最終的にはタッチスクリーンが無反応になる時間も長くなり、ついには購入に踏み切ったのだった。
iPhone6を購入するのに抵抗があったのは、そのデザインが好きになれなかったからだ。
iPhone4sの、このメタリックな質感が好きだったので、後半はカヴァーなどをかけることなく素で利用していた。
一方のiPhone6。本当は、ゴールドが好きだが、そのゴールドの色合いと、ラインが入っている感じ、またボディの丸みも好みではなく、それもあって購買意欲が沸かなかったのだった。しかし、敢えてシルヴァーを購入(ちなみにFlipkart.comを利用)したところ、メタリックな感じがいい。
到着直後に設定をしようと思いきや、SIMカードのサイズが違うことから、インディラナガールのAIRTELに足を運んで交換してもらい(速やかに完了、初期設定までやってくれた)、そのあとアップルの専門店でプロテクト用の枠と保護グラスを購入、その場で装着してもらった。
すると、とてもいい感じである。
画面の美しさ。写真のクオリティの向上に驚かされ、操作のしやすさに感嘆する。ついこの間、買ったばかりだったのに。と思っていた4年という歳月の長さ、変化の速度の速さを実感するのだった。
先日、発作的に購入したパトラ織り(絣の一種)のサリー。ブラウスが仕上がったので、初の着用だ。やさしく肌になじみ、本当に着心地がよい絣である。
明るいピンク色を貴重としたパステルカラーで、ザリ(金糸)の光沢が麗しい一枚もあり、どちらにすべきか悩んだが、大人の雰囲気を出すには、こちらでよかったと思う。
日本料理店の「祭」ほか、日本風の大浴場、日本人向けの客室などを擁する市内のザ・チャンセリーホテルが、日本酒と焼酎の正規輸入許可を取得されたとのことで、そのセレモニーが実施された。
日本酒が好きな夫も喜んでの参加である。
日本酒は、一ノ蔵、男山、若竹。焼酎は鉄幹、天盃、の馬、と、それぞれ3種類が用意されていた。あまり焼酎は飲まないので、日本酒3種をそれぞれに、味わう。ドライな一ノ蔵も、ほんのり甘くフルーティな若竹も美味だったが、個人的には男山が一番好きな味だ。
日本名門酒会の飯田氏とお話をしているときに、ニューヨークで最初にオープンしたSAKE BAR/居酒屋の「酒蔵」の話を持ち出したところ、当時、関わっていらっしゃっていたとのことだった。
1996年、当時わたしは、「広告営業担当者」として、現地の日系出版社に、現地採用で勤務していたのだが、その関係で、酒蔵のオープニングに訪れ、初めて日本酒の世界に触れたのだった。
カウンターにずらりとならんだ日本酒の様子は壮観で、なんてかっこいいんだろうと思った。メニューには、各地の日本酒の説明が詳細に記されており、注文をする前には、まるで「学習」するようにページをめくって、オーダーする酒を選んだものである。
飯田氏曰く、あのようなSAKE BARの形態は、当時、日本にもなく、世界で最初の試みだったとか。
また同経営者のイーストヴィレッジにある、最早、老舗の領域のSAKE BAR「でしべる」の話題にも至り、なんとも懐かしい。
もう、幾度となく記したが、インドには、欧米に生まれ育った、あるいは欧米で働いていたNRIが多く、日本の日本料理、ではなく、米国の日本料理になじんでいる富裕層、ビジネス層が非常に多い。
ゆえに、タージ・マハルパレスホテルのWASABIや、デリーにあるMEGUなど、米国的日本料理店が、なじみよく受け入れられているという側面もある。
これまで幾度となく、「バンガロールでおいしい日本料理を出す店はどこ?」「日本酒が好きなんだけど」と、多くのインド人の友人らに尋ねられて来たが、日本食をよく知り、期待値が高めの彼らに対して、返答に窮する場面は多々あった。
インドに暮らすインド人に勧める場合には、ヴェジタリアンのメニューが充実していることもポイントのひとつとなる。
家族や親戚、友人同士などの間でのネットワークが強く、口コミの信頼度が高いインド。多くのメンバーで外食に出かける際、その中にヴェジタリアンの人物が含まれている可能性は非常に高いからだ。
ともあれ、今後は日本酒が好きな友人らに、勧める店ができたのは喜ばしい限りだ。