昨日の大労働をいやすべく、今日は休養日。一日ホテルで過ごすことにした。朝食のあと、しばらくはラウンジで書き物をする。ほどなくして、一画のオープンキッチンから、いい香りが漂ってきた。と同時に、
「銀ダラの西京焼きは……」「ご飯は茶碗に、これくらい盛ってください」
と、日本語の会話が。どうやらラウンジに隣接するバンケットルームにて、日本人団体のお食事会があるらしい。聞けば日本のT田自動車の人々がバンガロアを訪れているとのこと。初めてこのホテルを訪れたときよりも、日本人を多く見かけるようになった。そういえば、夕べ、部屋で見たNHK日本語放送では、経団連の面々がニューデリーを訪れ、日本のインドに対する経済協力に関する協議を行った旨、報道していた。
「日本からの投資を得るためには、インフラの整備が必要である」と日本側がコメントし、それに対してインド側が「現在、重要課題として対応している」云々と返していたが、互いの思惑に時差がありすぎる気がしてならなかった。日本がインフラそのものに対して、もっと積極的に協力してくれればいいのにと思う。でもね。業を煮やすよね。道半ばして。
それにしたって、西京焼き。そろそろ日本食が恋しくなり始めた身としては、味見をさせてもらいたいものである。そういえば、バンガロアに新しく「HARIMA」という日本料理店ができたとの記事をローカルの雑誌で見つけた。美味なるランチは、「顎が落ちるほど」リーズナブルとの形容があった。近々行かねば。
午後は、ホテルに併設するショッピングモールを散策したり、緑の庭を歩いたりもする。ランチはモールの中のブックストアにあるティーハウスで、サラダとフレンチフライを。このモールもまた、訪れるたびに店舗を増やしている。ここも先だってのショッピングモール、「セントラル」と同様、資生堂などの化粧品店がオープンしていた。
そうして夕方はまたラウンジへ。5階に宿泊するゲストは、このラウンジを自由に利用でき、またちょっとしたハイティーもコンプリメント(無料提供)で楽しめるのだ。
久しくおいしいワインを口にしていなかったところに、モエ・シャンドンのボトル。BRUT(ドライ)であれば、スパークリングワインでも十分、おいしく感じるわたしとしては、銘柄にこだわるつもりはないのだが、なんだかうれしくて、グラスに注いでもらう。シャンパンは、やっぱり「ハレの気分」を演出するのに大切な存在だ。
ハイティーのスナック類のなかに、サーモンとエビの寿司が並んでいる。うれしすぎる。それから、チキンサラダ、チーズにクラッカーなどを少しずつ皿に盛り、シャンパンとともに味わう。
静かな一日は瞬く間に過ぎてゆく。金曜のデリー行きを控え、明日、明後日はまた、忙しくなる。