昼頃、デリーの空港に到着した。今回、デリーには2泊の予定だ。夫はすでに夕べ、デリー入りしている。今夜は二人ともホテルに滞在し、明日は実家に泊まることになっている。とはいえ、実家のおなじみドライヴァー、ティージヴィールが、空港まで迎えに来てくれる。相変わらず、冬場は「手編みのチョッキ」が定番ファッションだ。
ロメイシュに到着した旨、電話をしたところ、車を好きに使っていいと言ってくれたので、カーンマーケットにでも出かけようと思う。まずは、このマーケットの隣にあるKADHIという半国営のコスメティックショップ(と呼ぶにはやばすぎる雰囲気)の店で、以前も何度か紹介したローズウォーターとトゥルシ(ホーリーベイジル)のローション(激安)を買う。
それから、来るたびに新しい店が増えているカーンマーケットへ。最近開店した、やはりハーブ系のコスメティックショップ、FOREST ESSENTIALSで、洗顔クリームなどを試しに買ってみる。ここはちょっと高い。でも安いんだけど。
ふらふらと、あちらこちらの店をのぞき歩きつつ、ふと見上げた看板が気になって、2階に上がってみる。ANOKHIというインド綿の衣類を扱うブティックだ。ここはバンガロアのLEELAに隣接するショッピングモールにも店があるが、こちらの方が品揃えがいい。ちなみに本店はジャイプールにあるらしい。
ちょっとおしゃれな感じの、米国でいうとアンソロポロジーあたりに置いたらよさそうな、カラフルな衣類がそろっている。わたしは、エンジ色の、ジャージー素材のトップ(インド的デザイン)と、それから、どこかしらKENZO風なサルワールカミーズを購入。無論、KENZOが、中央アジアや西アジアの民族衣装に着想を得てデザインしているわけで、こちらがオリジナルなのだけれども。
もう、お値段のことは書くまい。と思いつつも、本当にリーズナブル。
ついでに、数軒となりにある、外観は地味な靴屋に吸い込まれる。ださださデザインの中にも、微妙にいい感じのサンダルを発見する。理想的とはもちろん言いがたいが、なにしろ皮が柔らかく、はき心地がいいのだ。聞けば置いてある靴すべて、この店の「オリジナル」らしい。K.K. LEEというこの店。その名の通り、李さんという中国人が親の代から経営していて、今年で創業35年目だとか。
デリーから多くの牛が追放されたとのことだが、まだ、ときどき、見かける。ところで右が、その李さんの靴。足がすっぽり収まって、とっても快適! デザインが微妙だけど、かわいいと思えばかわいい?
そんなこんなで、店の人たちと親睦を深め、店を出る。そうして、今夜の宿、OBEROI(オベロイホテル)へ。ここもまた、非常に快適なホテルだ。部屋で一息ついたあと、ネイルケアの予約を入れる。買って来たばかりの服に着替え、エレベータでロビーフロアへ出たところ、夫に遭遇。
「ハイ!」と一瞬、にこやかに声をかけあったものの、次の瞬間、
「ミホ。……それ、ナイトウエア?」
あのねえ。3日ぶりに会って最初の言葉がそれ? 人がKENZO風! って喜んでる矢先に、寝間着? 言われてみれば、そう見えなくもないが、しかし、そうなの? そうなわけ?
むっとしながらも、言葉を交わしつつ、我はネイルサロンへ。夫も「僕はマッサージに出かける」と、スパの予約を入れる様子。二人とも、いくら高級ホテルを連泊してるとはいえ、カリフォルニアを離れる直前から、ずっと落ち着かない日々を送っているから、疲れが微妙に溜まっている。随時、身体をリラックスさせなくてはね。
彼のビジネストリップは全般に亘りうまくいったようで、明日は久々に休みである。とはいえ、彼は明日、歯科医へ行かねばならない。あのクリケットの試合見ながら治療をしてくれたドクターが、やはりどうにも信頼できず、スジャータが行きつけの歯科医へ行くことにしたらしい。確かにその方が、いいだろう。
夕食はホテルのダイニングで。窓際のテーブルを待つ間、久々に二人してマティーニなど。ダイニングには寿司バーもあるが、異常に高いので、もちろん食べない。
シーザーサラダとマルガリータピザを注文し、シェアする。サラダはとてもおいしかったが、ウエイター曰く「デリーで一番の味」らしきマルガリータはいまいちだった。インドはミルクがおいしいから、おいしいモッツァレラチーズができそうな気がするが、それはまだ10年くらい先のことかな。ところで、この服がKENZO風なのだが、ナイトウエア? っていうか寝間着? ズボンとおそろいで着用するとナイトウエア度が上がるので、ズボンを履き替えてはみたのだが。……寝間着?