一週間がするすると過ぎ、早くも週末。旅のないこの3週間で、ずいぶんと土地に定着した気分になった。2月下旬には福岡から母を招くことになっており、わたしは「シンガポールまで迎えに」ゆく。4月には一度、米国にも戻る予定だ。
また、落ち着きのない日々が始まる前に、来週の土曜日には「引っ越しパーティー」を開こうと思う。また、日々の出来事に専心するあまり、取りこぼしている為すべき雑事を、きちんと片付けて行かねばとも思う。
とはいえ、「思いがけないところ」に「思いがけないできごと」が潜んでいるインド。このバンガロアですら、まだまだたっぷりと、行きたい場所が散らばっていて、そんな情報を目にすると、いてもたってもいられない気になってくる。
さて、義姉スジャータとラグヴァンが、St. Marks Hotelでシーフードフェアをやっているとの情報を得たらしく、今夜そこで会食する運びとなった。ゴア周辺のシーフード料理が会したブッフェとのことだったが、結論からいうと、いまいちだった。
シーフードフェアでありながら、いちばんおいしかったのがラム肉のカレーであったというのも皮肉である。小エビ、白身魚などのカレー、それにアサリのカレーなど、ココナツを多用した南らしい料理が多く、ココナツ風味の料理があまり好きではない我々には苦手な味もあった。
これなら、ラッセルマーケットで買って来た太刀魚の塩焼きの方が、遥かにうまいシーフードである。日頃ヘルシーな手料理を食べ続けているせいか、たいした量を食べたつもりもないのに、なんだか胃がもたれる感じ。いろいろな地元の味を試してみるのは肝要だと思う反面、外食は、できるだけ「選び抜いて」出かけるのがいいだろう思われる。さもなくば、家庭料理が一番。
食事の後は、バンガロアクラブのイヴェントへ。今夜はMemoriesと称されたミュージックライヴが開かれているのだ。50年代、60年代の、世界的流行歌曲が演奏されるとのこと。
芝生のガーデンにはテーブル席が設置され、バンドの周辺ではダンスをするカップルらでにぎわっている。わたしたちも白ワインを注文し、夜は冷え込む空の下、懐かしい旋律に耳を傾ける。
いずれの曲も、我々の両親世代にとって「懐かしい」と思えるものばかりで、ちょっぴり若者な我々にとっては、古過ぎるきらいもあったが、それはそれで、楽しいものである。
照明に浮かび上がる、闇夜の椰子の木。天空を見上げれば、くっきりと輝くオリオン座。飾り付けの白い風船が、ひとつ、ふたつ、束から外れて、闇夜に溶け込んで行く。