久しぶりに、夜遊びである。
夫が子供の頃、ロメイシュの転勤により一時期バンガロアに暮らしていたことは、以前書いたかと思う。そのときにご近所だったご夫妻に、数年前、バンガロアに来た折、会ったことがあった。彼らはバンガロア郊外のホワイトフィールドというところに住んでいる。
「遊びにいらっしゃいよ」と誘われていながら、なかなか機会を得られずにいる。その奥方より昨日電話があり、彼女の娘婿が我が家の近所のライヴハウスでギターの演奏をするから、ぜひ訪れてみてと勧められていた。
OPUSというレストラン、バー、ライヴハウスが一体化したスペースだ。そこで食事をして、それからライヴを聴こうということになった。
予約を入れずに出かけたら、案の定、満席だったが、なんとか交渉して(いつも交渉でなんとかする我々)、テーブルを得る。我々のお気に入りとなっているインド産ワイン(白)のSULAで乾杯。ライヴが始まる9時までには、まだ30分あるから、ゆっくり食事を楽しもうと思う。
ここはゴア料理の店だとかで、鶏肉、ラム肉の他、エビやカニの料理も多い。ガイドブックによればサンドイッチがお勧めとのことだが、夕飯にサンドイッチはいかがなものかと思われ、エビとチキンの料理を。最近は、モハンのヘルシーな家庭料理に慣れてしまったせいか、外食が重く感じられる。味付けも、濃い。
それでも、大切なのは、この雰囲気。
人々の会話の渦のなかで、飲み、食べ、水タバコを吸ってみたり(イチゴ味。リンゴ味もあるらしい。意外に美味)、やがては音楽に身を委ねたりするのは、とても心地のいいものだ。
ところでこの店。2階にはサルサやフラメンコのダンススクールがあるようだ。サルサやフラメンコはともかくとして、「忍術」というプログラムもあった。忍術……。インドで忍術……。いったいどんなクラスをやっているのか、興味深いものである。今度のぞいてみようかしらん。
夫は、数十年ぶりに会う幼なじみ(そのギタリストの妻)を見つけ出して挨拶を交わした。わたしもまた。
彼女の夫の音楽は、アンダルシアの赤茶けた大地を思わせた。旅情をかきたてる旋律だった。
思いがけず、深夜までをそこで過ごして帰宅した。いい、夜だった。