ムンバイで我々が最も気に入っているレストランの一つがインディゴ(INDIGO)である。無論、他に多くの店を知らないということもあるが、このイタリア料理店は雰囲気もよく、お酒も料理もデザートもおいしく、サーヴィスもよく、行くたびに気持ちよく食事を楽しんでいる。
コラバ地区、タージマハルパレス(ホテル)の真裏にあることもあり、海外からのお客も多い。本当は夕べ来たかったのだが、平日だというのに予約がいっぱいで、従って翌日の今日、予約をいれておいたのだった。
久しぶりに、食前酒を。夫は、去年、訪れたロンドンのレストランブルーバード(BLUE BIRD)で初めて口にして以来、すっかりお気に入りとなっている「ライチーマティーニ」を。わたしはクラシックマティーニを注文し、乾杯。
小粋なのは「本日のメニュー」。予約の際に伝えていたわたしの名前、MIHOが、印刷されている。しかし、MS. MIHO & FRIENDとは、これいかに。ちょっぴり詰めが甘い気もするが、予約の際に、「ご同伴なさるのは、お友達ですか、それともご主人?」などと根掘り葉掘り聞くこともできないだろうから、これでいいのか。
わたしは本日のおすすめ、照り焼きチキンの海苔(!)添え、マッシュドポテト&ブロッコリーを注文。夫はロブスターリゾットを。イタリアンで照り焼きチキンとはなんとチャレンジャーな、と思ったが、どんなものかと試してみたかったのだ。
結果は、非常においしかった。インドでは鶏の皮をつけたまま料理を出すことはほとんどないので、皮なしの照り焼きだとパサパサなのではないかと懸念したが、柔らかくジューシーに仕上がっており、とても美味。夫のリゾットもそれなりにおいしかった。
「インディゴは、値段はブルーバードの半額以下だけど、料理はおいしいし、雰囲気はいいし、いいよね〜。やっぱりムンバイはいいな」
このところ、夫に「インド容認」発言が増えて来た。いいことだ。今日の打ち合わせの手応えもよかったらしく、従って彼のご機嫌もいい。
「今日は、いろいろとうまく行ってよかったね」
「うん。鳩に、糞を落とされた以外はね」
クリケットグラウンドの一画の、屋外のカフェテリアで打ち合わせをしていたとき、頭上に落とされたらしい。
さて、久しぶりにデザートを味わってみることに。スフレにするか、どうしようか、夫が熟考の末に選んだのは、モルテンチョコレートケーキ。パラペーニョ(唐辛子)が少し入っている奇抜なデザートだが、これが非常においしかったのだ。
スプーンをいれると、中から温かなチョコレートがとろりと溢れ出すケーキ。ああ、おいしい。互いに牽制し合いながら、一つのデザートを分け合い、コーヒーで締めくくる。なにはともあれ、おいしいものを味わえるのは、幸せなことである。