昨日、ラッセルマーケットの魚市場で仕入れておいた魚介類。マダム自ら捌いて、しかし調理は家政夫モハンにおまかせで、夕べはエビのカレーを作ってもらった。キングプラウンだかタイガープラウンだか忘れたが、頭付きの大きなエビである。
またしても、写真を撮り忘れてしまったが、エビのだしがカレーに麗しく浸透し、ご飯によく合う、実に美味なる一品であった。アルヴィンドも香港に立つ直前、「おいしい!」と幸せそうに食べ、深夜の便で旅立っていった。
さて、本日は、すでにおなじみポムフレット(マナガツオ)のカレーである。最近は、何かとキッチンに出入りしたがるマダムを容認し始めたモハン。コップをすすぐくらいなら、わたしにもやらせてくれるようになった。
料理をしている様子を眺めていても、抵抗感を示さないのをいいことに、本日はカメラを携えて堂々と「俺の城」見学。
まず、上の大きな写真を見てほしい。この、きっちりと準備された感じ。タマネギのすり下ろし、湯むきトマトのピューレ、コリアンダーのみじん切り、生姜&ニンニク入りライム汁、ヨーグルト。上の「ままごとセット」みたいな容器は、マサラボックスと呼ばれるもの。
頻繁に使う調味料をここに入れておくのだ。インドの家庭ではどこにでもあるものらしい。ということを、当初、マダムは知らなかったのだが、モハンが自ら購入して来た。
せっかくなら、ステンレス製のちょっといい感じのボックスを買ってくれればよかったのだが、そこいらの店に売っていた、おもちゃ的商品である。弘法は筆を選ばないのである。
魚を揚げる、いい音、いい匂いに引き寄せられて、キッチンへ入った我。モハンがマリネしておいた魚を揚げている。わたしたちは魚の頭も食べるので、捨てずにとっておいた。
モハンもまた、「ヘッド、ベリーグッド」と言いながらともに調理しておいてくれた。マリネの材料を問えば、ヨーグルトと、右の写真の粉だという。この粉は何なのかと問えば、ダルにも使われる右のパックに入っている豆(チェンネイキダール?)を挽いたものらしい。ほほう。
フォークと木べらという、いまいち使いにくそうな道具で揚げているので、トングを勧めてみたが、これでいいとのこと。師匠に口出しするのは控えるべきか。日本人ならば箸を使うところではあるが。
わたしが揚げている様子を凝視していると、
「マダム、トライ」
と一切れ、皿に入れてくれた。以心伝心であった。揚げたてあつあつをいただきます。うふふ。おいしい。カレーで和えたりせずとも、もう、この揚げ魚状態でわたしは満足だ。
「マダム、トライ」
頭の部分も、一切れ、皿に入れてくれた。これもまた、おいしい。
聞くところによると、彼は少年時代より、彼の妻の父親にあたる人物に料理を教わったらしい。つまり義父であるが、彼は現在、デリーに住んでいるとのこと。
義父はあらゆる料理を巧みに作る、すばらしい料理人らしいが、細かいことは、わからない。わからないが、師匠の娘と結婚したのだということは、よくわかった。
さて、魚を揚げ終わったら、熱したフライパンに油を入れ、クローブやカルダモン、黒こしょうの粒などを入れて香りを溶け込ませ、そこにタマネギのすりおろしを加える。これをぐつぐつと煮込む。そのあと、トマトを入れて、やはりぐつぐつと煮込む。残りのスパイス類も、全部入れて、煮込む。途中で水を加えたりもする。
最後に、揚げておいた魚を入れて、しばらく煮込んで出来上がり。毎度毎度、手のかかった食事を供してもらえることのありがたさ。今夜の夕餉もまた、おいしかった。