「今年のマンゴーは、作柄が、よくないの。これはとても、おいしいけど」
先日、ランチに来たときのこと。アルヴィンドとまったく同じ仕草で、マンゴーの皮に付いた実をこそぐようにして食べながら、スジャータが言った。
彼女の言う通りかもしれない。夫が好きなアルフォンソーマンゴーについては、いくつもの、おいしいものを味わったけれど、味が安定していないものも多かった。
それ以外に試した4種類のマンゴーは、買ったタイミングや食べるタイミングが悪かったのか、熟れすぎていたり、酸っぱすぎたり、味が淡白だったりと、好みの問題もあるのだろうけれど、今ひとつ。
数年前ムンバイの屋台で買ったマンゴーは、とても安くて、どれもおいしかったことを思うと、やはり今年は悪かったのかもしれない。
「いまひとつ」のマンゴー数種類は、皮をむいてまとめてジュースにし、小分けして冷凍しておいた。これとヨーグルトと混ぜて、マンゴーラッシーを作るのだ。
「いまひとつ」のマンゴーも、ブレンドするといい味になり、格別のマンゴーラッシーができあがる。
アルフォンソーマンゴーはもう、季節が終わるけれど、まだこれからのマンゴーもある。スジャータはBadamiという名のマンゴーもおいしいと勧めてくれた。まだ巡り会っていない。
さて、お次はライチーのシーズン。数日前、デリー在住の義父ロメイシュから電話があった。
「ミホ。デリーにおいしいライチーが出回り始めたよ。来週、ドクター(ラグヴァンの父)がそっちに行くから、1箱、預けるよ」
ライチー、バンガロアにもあるけどね。デリーの方がおいしいのかな。それよりドクター、高齢でよたよたしてるのに、重いものを持たせて大丈夫なの?
いろいろ思うが、父の愛。
なにしろ、アルヴィンドはマンゴーに並んでライチーが大好物なのだ。おいしいものを子供に食べさせたい父心、ありがたくいただこう。
さて、写真のライチーは、家政夫モハンがラッセルマーケットで買って来てくれた「初物」。
ちなみにライチーは、食べる直前まで洗わないように。とても傷みやすく、色が変わってしまうのだとか。無論、どんな果物も、そうだけれどね。
夜、クリケットを見ていた夫に、数粒を恭しく供したら、大きな眼をより見開き、笑顔炸裂させ、
「ライチ〜! おいしそう!」
大好きなクリケットと大好きなライチー。
それはそれは、至福の夜でありましょう。