インドは映画王国。ボンベイ(ムンバイ)は映画の都である。米国のハリウッド映画をもじって、ボンベイ産の映画が「ボリウッド映画」と呼ばれていることは、すでに広く知られているところだ。
さて、そのボリウッド映画。米国時代、インド訪問のたびに、夫はDVDを購入しては、帰国後、鑑賞するのを楽しみとしていた。古い物から新しい物まで、少なくとも20本はあると思う。
ストーリーはさることながら、いずれも似たような音楽、似たような構成、似たような踊りのシーンが登場して、最初のうちはあっけにとられたものだ。
ともかく、何かと、踊るのだ。さっきまで深刻にしゃべっていたカップルが、突然踊りだすのだ。ブロードウェイのミュージカルどころの騒ぎではない、その唐突さ、脈絡のなささ、そして激しさ。
しかし、慣れとは恐ろしいもので、リヴィングルームからひゃらひゃらひょわ〜〜ん ぴゃらららら〜んと音楽が流れてくると、ついつい足が動き、TVの前で踊りだすことしばしばだった。
夫に、"You are weird(気味が悪い)"と言われても、やめられない魔力。
なにもわたしが、映画の出演者らとともに踊ることもないのだが、しかし、その旋律を聞いているうちに、「踊らざるをえない」気分になるのである。踊りそのものもまた、妙な身のこなしにつき、少しも「クール」ではないのだが、この際、そんなことは関係ないのである。
さて、日本人のマダムから、バンガロアに、その「ボリウッドダンス」を教えるクラスがあるとの噂を聞いていた。移住以来、イヴェントやらショーやらで「本場のボリウッドダンス」を見るに付け、踊り出したい衝動に駆られていたわたしである。願ってもいないチャンスだ。唯一の懸念は「腰痛」であるが、取りあえずは試してみようと思う。
我が家から車で5分以内の場所にある、Alliance Fraicaiseという印仏交流文化会館のような建物の内部で、ダンスレッスンが行われていると聞いていたので、昨日、情報を得に出かけたのだった。
Alliance Fraicaiseそのものは、フランス語のクラスなどを主催し、時にフランス映画を上映したり、絵画展などを催したりするなど、インドとフランスの文化交流を図る団体のようである。
ダンスのクラスについては、単に教室を提供しているだけとのこと。従ってはプログラムがないので、各自が掲示板で情報を入手し、講師に直接連絡を取る仕組みである。
掲示板には、合気道や太極拳、コーラス、ヨガなど、さまざまなクラスの情報が貼り出されていた。今回はボリウッドダンスを試したいが、太極拳もやってみたい。とはいえ、近々デリーに引っ越す訳だから、あれこれと手を出さず、取りあえずは月曜水曜のボリウッドダンスだな。
そんなわけで、今朝、講師と連絡を取ったところ、一度トライアルにおいでと言われたので、参加して来た次第。
講師は若い男性。ダンサーだけあり、比較的男前である。生徒は女性ばかり10名ほど。わたしを含め、日本人が4名と多数派で、あとはインド人女性、欧米人女性という構成だ。
最初はウォームアップのようなダンスに始まり、音楽に合わせて身体を動かす。エアロビクスをより「愉快に」した感じ。とでも言おうか。なにしろ初日ゆえ、ただ、ついていくのに精一杯ではあったが、音楽に合わせて踊るのは、ことのほか、楽しい。
ただ、やはり飛び跳ねると腰に来るので、ジャンプ抜きでの動作が望まれるようだ。思えばワシントンDC時代も、フラメンコを始めたものの、腰痛で挫折した。ヨガは週に3回通い、腰痛の克服を目指してはいるが、なかなか治るものではない。
ダンスで悪化しても困るし、悩ましいところである。若かりし頃、痛みを省みず、阿呆のようにバスケットボールをやっていたことが悔やまれる。医者から「プロになる訳じゃないんでしょ? やめたら?」と言われていたときに、おとなしく辞めておけばよかったよ。
世界観の著しく狭小な、我が中高時代ではあった。
人の身体には、向き不向きの動きがある。向き不向きの労働がある。なんでも頑張ればいいってもんでもないわけだ。頑張る方向性を間違っておった。
もうちょっと様子を見て、続けるかどうか、検討しようと思う。
ところで、上の写真はAlliance Fraicaiseの建物内。
Live as if you were to die tomorrow.
Learn as if you you were to live forever. (Mahatma Gandhi)
生きよ。明日、死ぬがごとくに。
学べ。永遠に生きるがごとくに。(マハトマ・ガンディー)