数日前。ヨガの最中、荒野に横たわるまっすぐの道が脳裏に浮かんだ。
思えば、ちょうど一年前のその日は、
米国大陸横断ドライヴに出発した日だった。
「身軽に」「身軽に」との思いで、家財道具を処分した。
箱に詰められるものだけをストレージルームに残して、
いくつかのスーツケースと段ボール箱を車に詰め込んだ。
雨上がりの虹が浮かぶ夕暮れ時、
住み慣れた部屋に別れを告げて、ワシントンDCを離れた。
東海岸から西海岸へ。
あちら、こちらに車を停めつつ、身を休めつつ、
しかしひたすら、西を目指した。
西へ向かうが故に、なかなか沈まぬ太陽で、
鋭い日差しに打たれながら、行った。
交代で、ステアリングを握り、アクセルを踏み、走った。
約4000マイル、6400キロの道程。
同じ地球の上の、同じ陸地の上なのに、
どうしてあんなにも、様子の違う場所だっただろう。
茫洋の大地にのびる、きれいに舗装された道の、
見渡す限りにおいて人はおらず、
見渡す限りにおいて車はみえず、
ただ、わたしたちだけ、だった。
ひたすら、わたしたちだけ、だった。
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■アメリカ大陸横断ドライヴ紀行
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