月曜からの香港出張は、アルヴィンド一人で行ってもらうことにした。毎度出張に同行したのでは、密着行動にもほどがあるし。ものすごく行きたいと切望していれば別だけれど、この間行ったばかりだし。行ったことのない土地になら行きたいけれど。むしろヒマラヤとかブータンとか。そんなところへの出張はないと思うけど。
さて、デリー移転が不透明となり、バンガロールにしばらく住むかも、という事態を受けて、先日より、あれこれと活動、仕事を始めている過程にあり、少々多忙になってきた。料理クラスも参加希望者がどんどん増えているので、状況次第では、週に2クラスにしようかと思う。
今日は土曜日にも関わらず、夫もわたしも各々の仕事で書斎にこもる。一日中、コンピュータに向かうというのは、しかしよくないものである。途中、先日作っておいたあんこでぜんざい(しるこ)を作ったりして、食べる。白玉こねこね、茹でたりして。
ところで、関東地方ではあんこがこってりとした食べ物を「ぜんざい」と呼ぶようだが、福岡では、関東でいうこところの「しるこ」をぜんざいと呼ぶ。はずだ。つまりは、関東でいうところの「しるこ」を食べた。
食べ物の写真と話題ばかりが続いている昨今。いかにも「日記的なブログ」になりきってしまっており、当初の目的からそれつつある。ん? 当初の目的って、なんだったっけ……。Anyway, 今日は、インドの紙幣を紹介しよう。ちなみに写真は、図柄をはっきりさせるために、少々コントラストを強めに加工している。実物の色合いは、これよりもマイルドだ。
全ての紙幣に共通して、裏面の左端に文字が列記されている。インドで公用語と見なされている、英語を除いた15の言語だ。インド大使館のインフォメーションによれば、「18の主要言語及び844の方言」が存在しているらしい。一つの国とはいえ、統制のとりにくい社会ではある。
ちなみにインドの国花は蓮(ロータス)、国の果物はマンゴー、国の動物はトラだとのこと。そのまんま、という感じではある。国鳥はくじゃく、かしらん。
ところで、我が夫の名、ARVINDはサンスクリット語で「ロータス」の意味。義父ロメイシュが「太陽」の意味だと思って命名したらしい。学校のサンスクリット語の授業で、自分の名の由来を聞かれて、「太陽です」と答えたところ、先生から間違いを指摘されたらしい。かなりのんきな一家ではある。
ところで、古いインド紙幣の表左部分に、しばしばホッチキスで止めたあとの「穴」が見られる。インドの銀行では、紙幣を100枚ずつを束ねた際に、ホッチキスでガッチャンととめる。誰かが「ちょっと1枚!」などと、抜き取るのを防ぐためである。一番上の札には"100"とメモしたりする。だから痕跡が残っている。
5年前、初めてマルハン家を訪れ、義父にホッチキス止め100ルピーの束を渡されたときには、目を見張ったものである。しかもそのホッチキスがとれにくい。ロメイシュがもたもたしていると、ウマがさっと奪い取り、札束を二分して左右の手で握り、ぐいっと反対方向にねじるようにして、はずした。慣れた手つきであった。
一般的な高額紙幣は500ルピー。つまりUS$10ちょっと。1000ルピー札はなかなか見かけない。100ルピー札の流通が多そうである。
さて、これは5ルピー札の裏である。ミレーの「晩鐘」を彷彿とさせる、落日の田園風景。トラクターで畑を耕す男性の後ろ姿が哀愁だ。インドは農業大国であることをアピールしたイラストであろう。
さて、お次は10ルピー札。これもかなりくたびれた紙幣だ。しかし裏面の絵はかなり力強い。トラに象、サイと、インドの強い動物らが描かれている。沸き上がる、波のようなペイズリーのような模様は、模様である。
20ルピーの裏。これは最もインパクトが弱い。椰子の木と岬の風景だ。インド洋とアラビア海、ベンガル湾という「三つの海」が接するところのインド最南端カンニャクマリであろうか。わからない。
さて、流通が多いと思われる100ルピー。雲海と雪を戴いた山脈。紛れもなく、ヒマラヤの山々であろう。北インドのヒマーチャルプラデーシュ州や、家政夫モハンの故郷、ウッタラーンチャル州などを訪れ、ヒマラヤを仰ぎ見たいものである。
500ルピーの裏には、全紙幣の表に登場しているマハトマ・ガンディーの姿が見られる。インド独立の父と呼ばれている彼の概略はこちらに。「絶対的な禁欲主義」に走った理由が驚きだ。本当?
さて、最後に1000ルピー札。実は、今回「お札をチェックしてみよう」と思ったのは、この1000ルピー新札を目にしたのがきっかけだった。見てくださいよ、この裏面の図柄! 農業に鉄鋼業、宇宙開発にコンピュータ(IT)、中央は石油採掘? と、盛りだくさんのテーマ。コンピュータのモニターが「旧式すぎる」のが気になるけれど、お札の裏から「がんばってるインド」が滲み出ていて、かなりじっくり、見入ってしまった。
インド生活の端々で、「これは!」と思う事柄は尽きず、あれもこれもと紹介したいと思ううちに、どんどん月日は流れて行く。
もう、7月も終わり、インド生活も8カ月が過ぎようとしている。早いものだ。何よりよかったのは、アルヴィンドが「米国へ帰るぞ!」と言い出さない状況にあることだ。ふふふ。インドは奥深過ぎるから、何年住んでも、尽きないと思う。
こんなふうに、1年、2年は、瞬く間に過ぎてゆくのだろうな。