●本日も、クッキングクラスであった。かなり好評である。今日は「第一回」のチキンカレー、トマトスープ、ライタを再び。インド家庭料理のやさしい味わいを知る機会がない人たちにとって、我が家のレシピは意外さと新鮮さに満ちているはずである。
●5年前、結婚式のときに初めてインドを訪れ、マルハン実家で家庭料理を食べたときの感激を思い出す。我が日本家族も、おいしいおいしいと、本当によく食べたものだ。
●テーブルに並んでいるのは、中央が課題の「チキンカレー」。カップに入ったスープはすでに、飲み干されている。右はランチ用に作っておいたズッキーニのソテー、左は日本的ポテトサラダ。
●ズッキーニは、ラッセルマーケットにはないけれど、Namdharisで買える。オリーヴオイルに鷹のつめ、ガーリックを入れて香りたたせ、ざっと塩こしょうで炒めるだけ。ということを、モハンに伝えて作ってもらったが、なんだか蒸された風になってしまった。ちょっと焦げるくらいが香ばしくていいのだが。
●ポテトサラダは、香港調達のキューピーマヨネーズ使用。やっぱり、マヨネーズはキューピーが好き。
●昨日作った大量「つぶあん」の一部。マダム群に味見をしていただいたところ、なんと、好評! インドのジャガリ(jaggery)という、無精製のサトウキビから作られた砂糖を使用したのだが、その風味が、あんに「こく」を与えているようである。ちなみに、砂糖の分量はレシピの半分以下しか入れていないが、それでもしっかり甘い。
●日本を離れて久しいわたしが、「おいしい」と思っても、それは勘違いかもしれぬと思っていたが、好評で嬉しい。しかしあれは、何の豆だったか。水に浸けていた時間が短かったせいもあるが、それにしても、柔らかくならない豆だった。主婦歴20年のマダムより、保温ポットに湯を入れて一晩浸けておくといいと聞いたが……。保温ポットがないな、うちには。
●「どらやき」や「あんまん」や「あんぱん」などを、作れそうである。でも、ぜんざい、しるこあたりが簡単か。ともかくは、冷凍保存にしておいた。
●夕べ、ムンバイから帰って来た夫は、午前中、自宅書斎で仕事。ランチ試食会に参加する。椅子が足りないのでデスク用の椅子をコロコロ運んで来て、座る。女性に囲まれて、幸せそうである。
●こちらは、デザート用に昨日作っておいたマンゴームース。アルフォンソマンゴーは季節が終わっているので、名称未確認の数種類をブレンドして作った。アルフォンソは鮮やかオレンジだが、これらはやさしい黄色。ムースの色も、まろやかだ。
●食後、お茶を飲みながらの雑談。インド生活の「たいへんさ」の話題になると、どうしても「インドだけじゃないのよ」「日本が稀に見るきちんとした国なのよ」「米国だっていろいろひどいのよ」ということを、毎度言わずには言われない。
●マンハッタンじゃないからこそ、大騒ぎになっていないけれど、ニューヨークのクィーンズ区の一部で、1週間近くも停電が続いているというではないか。しかも原因が不明とは。夏真っ盛りの暑い時期、1週間も電気がないだなんて!
●それにしても、カリフォルニアは、どうなってしまったのだろう。去年、一時期住んでいた頃は、楽園みたいに心地よい気候だったのに。青空が澄み渡って、風が軽やかで。
●クッキングクラス。料理の時間よりも、試食とお茶の時間の方が、いつも遥かに長い。みなさん、楽しんで過ごされているようで、それもまた、うれしいものである。
●夜は、エミさんとショーン、それから夕方、バンガロールに到着したばかりのショーンの弟ブライアンと、その妻ジェーンをお招き。インドはもちろん、初めての海外旅行らしい。
●米国東海岸発、ロンドン経由でムンバイ入り。本当はムンバイで1泊してバンガロールに来るつもりが、とんだハプニング。ロンドンでムンバイ行きの飛行機に乗る直前、ブライアン、鼻血が出た。でも、搭乗するころにはおさまっていて、しかし念のため、ティッシュを鼻に詰めていた。
●結果的に言うと、「鼻血のために」、飛行機搭乗を断られたらしい。すでに、出ていなかったにも関わらず、高度の変化などで再発、悪化する恐れがあるからとのこと。なんと、ロンドンで1泊する羽目に!
●ホテル代に加え、チケット変更料金(一人100ドル程度)、その他もろもろ、予期せぬ出費及び精神的苦痛。加えてムンバイのホテルは直前キャンセルにつき100%支払い。ともかく、あれこれ、たいへんだったらしい。
●一方、ムンバイのホテルに到着しているはずの弟夫婦がいないことで、ショーンたちは大慌て。ホテルからは「彼らはチェックインしていない」「キャンセルされている」と言われるばかり。間違いなく、米国を発っているのに! まさかムンバイ空港からホテルへ向かう途中に、誘拐でもされたのではないか?! などと最悪の事態も考え、心配したらしい。
●インドだもの。心配せずには、いられない気持ちはよくわかる。
●ともかくは、今日、バンガロールに、到着した。よかったよかった。それにしても、搭乗前の鼻血には要注意だ。
●そんなわけで、たいへんな旅のはじまりだったようだけれど、平和な我が家で、インド産スパークリングワインで、乾杯。
●最初は外食のつもりだったけれど、でも、長旅のあとは家庭料理の方がいいに違いない。と、突然だけれど、お招きすることにしたのだ。
●こんなとき、家政夫モハンの存在は、やはり相当に大きい。ご近所への買い物を含め2時間半で、頼んでおいたメニューをそつなく仕上げてくれた。
●疲労した身体に優しいトマトスープにはじまり、手作りチーズのホウレンソウカレー、ラムチョップのカレー、鶏挽肉とグリーンピーのソテー、ニンジンのグリル、特製カラフルサラダ……。
●みんな喜んで食べてくれて、マダムは非常にうれしい。夫出張時は、マダムが自炊を好むため「出る幕」のなかったモハンであるが、今日は大活躍である。
●食後はマダム特製のマンゴームース。いったいどれだけ作っていたんだ。昼間とは、ちょっと趣向を変えて、表面にマンゴーピューレーをとろりと流し、ミントの葉とザクロの実を散らした。季節外れのクリスマス的。
●宴の終盤、さすがに弟夫妻は眠そうだったけれど、とても喜んでくれたようで、よかった。
●彼らを見送りしあと、「わたしって、おもてなし好き?」と、ふと自問が閃いた。一人の時間が必要だ、という意識が強い一方で、かなりおもてなしが好きなのではないか?
●B&B(Bed & Breakfast) を開きたいと、常々思っていることも、結局は「おもてなし好き」だからか? 20歳のとき、初めて海外(米国)に出て、ロサンゼルス郊外の家庭にホームステイした。
●21年前のあの夏の経験が、今のわたしの原点である。1カ月のホームステイを通して、それまでの自分が持っていたあらゆる価値観、物事の尺度が、崩れ去り、振り出しに戻った。
●やはり、旅や、異文化交流に関わる仕事に、従事するのがいいのかもしれない。結果、いつかどこかで、歳をとってからでも、B&Bを開きたいものである。ただ、人を泊めるだけではない、プラスαのある場所にできると、もっといい。
●「人をもてなす」ということについて、ちょっと考察してみよう。
●「おもてなし」という言葉をおもうとき、「裏があっても、おもてなし〜」の台詞が、毎度脳裏を巡るのは、過日のとんねるずのせいだ。迷惑だ。
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●MUSE COOKING CLASS マルハン家での料理教室
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