あふれている街。
汚れた家に生まれ、
生まれて間もなく、
汚れてしまった赤ん坊は、
着るものも着ず、
汚れたままの肌のまま、
汚れたままの子供に育ち、
利発で鋭い瞳。
憐れみを乞う鋭い瞳。
不快のなんたるかを知らず、
不快そのものが日常で、
汚れたままに思春期で、
汚れたままに恋をして、
土に眠り、
泥に戯れ、
太陽の熱残るアスファルトに頬を寄せ、
地面の温もりに親しく、
汚れたままで伴侶を得、
汚れたままで子を産んで、
汚れた子供を抱きかかえ、
汚れた手をして米を乞い、
汚れた家で朝が来て、
汚れた家で夜を迎え、
ぼさぼさの、子供の髪の、
ぼろぼろの、子供の肌の、
延々と、路肩に続く、
延々と、路肩に続く、
ぼろぼろのぼろぼろのバラックから、
裸電球の灯火がこぼれている。
傍らを走り抜ける。
ベンツさえ走る。
ベントレーさえ走る。
延々と、路肩に続く、
ぼろぼろのぼろぼろのバラックで、
今日もまた、赤ん坊が生まれる。
汚れるばかりの生涯の、
煤けるばかりの人生の、
今日もまた、赤ん坊が生まれる。