日本滞在中の、この十日余り。刺身も牛肉も十分に堪能した。と、主張したのだが、「玉の湯」で本格日本料理を味わえなかった妹は、譲らなかった。
「美穂姉に、おいしい日本料理を食べてもらわねば!」
と、半ば強引に、最終日のランチタイム、岩田屋にある「吉兆」に招待してくれたのだった。
お献立は、ミニ懐石「華」。それは、「ミニ」ながらも、十分に日本料理の美を満喫できる、すばらしいものであった。まさに、本気の日本料理である。
季節を映した素材と盛りつけ。麗しい器。バランスのよい味わい。まさに、目で、舌で、日本の味覚を楽しんだ。
ランチメニューには、ミニ懐石のほかにも、本格懐石、特選懐石とある。ごちそうしてもらっておいて、こう言うのもなんであるが、ミニ懐石は品質に比してお手頃価格、そして十分に満足できる味わいであった。ごちそうさまでした!
アルヴィンドにも、こういう美しい日本料理を味わってほしいものだと思った。この次の帰国の際には、また訪れたい。
本日の「御献立」をここに。
◎御座付前
柿なます、合鴨ロース肉、さざ波青唐、鮟肝水玉煮凍、長芋、栗
◎御煮物椀
うずら真薯、蕪、餅
◎御造里
鯛、平政
◎御家貴物
マス西京焼、鰆幽庵焼、鮑茸、栗、むかご
◎御多喜合
海老芋、湯葉、ピーマン、法蓮草、柚子
◎御食事
蒸し寿司(かに身酢〆、穴子、寿々子、三つ葉、海苔)、白味噌汁、香の物
◎御冷菓
三色フルーツ角ゼリー
今回の日本旅。食べられるだけ、食べた。満足である。
食事の後は、母と妹と別れ、書店などを彷徨。今回、ゆっくりと書店巡りをする時間がなかったのが残念であるが、仕方あるまい。最後に、「ジュンク堂」で、インド仕事の参考になりそうな雑誌などを買い込む。小雨の降り出した中、バスに乗る。
しまった、小銭がない。5000円札しかない。運転手さんにその旨を告げたら、「じゃあ、小銭をあるだけ、払ってください」
小銭を探す。……1円玉が2枚。2円だけかい! 運転手さんにその旨を告げたら、「じゃ、この次に乗るときに、今日の分も払ってください」。
ごめんなさい、無賃乗車を許してくれて西鉄バスの運転手さん。
この次に乗るのは、いつになるのかしらん。かなり先になりそうだから、お母さん。280円、今度払っておいてね。