今日のランチはTAJ RESIDENCY HOTELのサンデーブランチ。インドの高級ホテルでは、サンデーブランチのブッフェが定番なのである。
昨日に引き続き、本日も不動産屋(正確には不動産開発業者)を訪問せねばならず、界隈にある店で急ぎランチを取る必要があったのだが、サンデーブランチのブッフェにはスパークリングワインもついていて、図らずも「祝杯」のムードとなった。
ついには本日、頭金を払い、家を買うことに決めたのだ。よって、祝杯なのだ。
「家」といっても実際は4ベッドルームのアパートメントだが、日本の人々に向かって「アパートメント」と言うと、「竹陣荘」みたいなものを思い浮かべられてしまいそうなのが難。日本で言うところの「マンション」であるが、でも、それもやっぱり気持ち悪いので、アパートメントである。
わたしはニューヨーク時代、52階建ての18階に住んでいた。あるとき19階が火事になってひどい目に遭ったことは『街の灯』にも記している通りだ。あのときに、高層ビルの恐ろしさを痛感した。
そして数年後の9/11。あれ以来、高層ビルには住みたくないと思うようになった。
ヴァラダラジャン夫妻(義姉スジャータ&ラグヴァン)が勧めてくれていて、先日出かけた物件は、投資目的なら異存はなかったが、住むとなるとやはりいやだった。18階程度とはいえ、高層は高層である。それに、あまりにも近代的な、アメリカンな施設が整いすぎる計画に、なんだか、落ち着かない気がした。
わたしが日本滞在中、アルヴィンドとスジャータ、ラグヴァンが週末を利用してあちこちの物件巡りをしておいてくれたことは、先週にも記した通りだ。
その、絞り込まれていた1軒が、とてもよかったのだ。
この1年間、わたし自身、バンガロールやムンバイなどで、さまざまな物件をみる機会があったが、ここはかなり、いい。レイアウトも、方角も、かなりいい。
周辺環境は、バンガロールとは思えぬほど閑静で、「ガーデンシティー」らしく緑に恵まれている。特に、角に面した我々の物件は、L字型の庭に囲まれ、ガーデニングやら自家菜園やらができそうだ。犬も飼えそうだ。
家屋自体はDUPLEX(二階層)になっていて、リヴィングルームとダイニングルーム、そして1ベッドルームが吹き抜けとなっており、大変に開放感がある。
一歩、玄関から中へ入ると、「一軒家な感覚」なのがうれしい。
日本に見られるような「分譲住宅」や「マンション」と異なり、インドもまた欧米的に、自分たちでキッチンやクローゼットなどを決めるため、まだ新築のこの物件はがらんとしている。
今後、インテリアデザイナーと相談しながら、自分たちでシステムキッチンやクローゼットなどの設備を調えていくことになる。
キッチンは家政夫モハンによる「俺の城」改め、わたしによる「マダムの城」と、させていただきたい。クッキングクラスにも好適な、アイランドも設置するぞ。
無論、インドで新築の物件を買うのは、メンテナンスの不完全などが予測され、なかなかにリスクが高い。しかし、古い物件もまた、各所の老朽化により、問題は起こる。いずれにしても、インドでは、リスクはつきものなのである。なにしろ、この一年間、問題の多い大家とやりあってこれたのだから、鍛えられてはいる。
思えば、あの日、大家との戦いに敗れて後、ヴァラダラジャン夫妻に連れられて彼らの所有する物件を見に行ったことが、不動産購入の端緒だった。
その数週間前までは、
「僕、インドで家なんて、買わないよ」
「いつ、アメリカに帰るかもわからないんだし」
とうそぶいていたハニーだったが、確実な投資をしているヴァラダラジャン夫妻に触発され、大いに積極的になったのである。彼らには、本当に感謝である。
さて、夜はその二人を招いて、毎度恒例の夕食だった。今日、頭金を払って来たのだと言うと、とても喜んでくれた。
ここで物件を買ったからといって、バンガロールに定住することが決まった訳ではもちろんない。いつ、どこへ引っ越すかわからないのは、相変わらずの問題だ。
ただ、支払いを済ませ、来年の春あたりからは内装工事を始め、もしもまだバンガロールにいることが予想されれば(わたしは95%そのつもりだが)、初夏までには移転したいと考えている。
そのころはまた、半年に一度の米国行きがあるなど、なにかと慌ただしくなりそうではあるが、待ち遠しくもある。
その後、もしも他都市への移転が決まったとしても、この物件であれば、人に貸しやすいと思われる。特に、子供のいる海外からの駐在員家族には、この広い庭が好まれるに違いない。
移住一年目。インドに、住処を得る。
何かしら、感慨深い。
がんばっていこうと思う。