終日、家で過ごす土曜日。引っ越しが間近となると、片付けに気合いが入らず、机回りやクローゼットの内部などが、どうも散らかり気味。早いところ段ボールを取り寄せて、徐々に荷造りでもしようかしらんと思う。
今日は久しぶりに友人カップルをお招き。本日はマダム食をメインにと、先だって大量購入していたポークチョップを解凍して、例のオリエンタル&リンゴ風味なマリネによるBBQでおもてなしをすることにした。
なにしろ、オーヴンは相変わらず「上段のみ発熱する」という不具合ぶりだが、BBQならひっくり返しつつ焼けるのでOKだ。故障が発覚する直前、シュー皮を焼いたときは、泣きを見たけれど。
今日はゲストをお迎えする故、タマネギのスライスじっくり炒めとマッシュルームの軽やか炒めにマリネの残り汁を加えての「ソース」を作った。件(くだん)の激マズ赤ワインが、しかし活躍してくれた。
このほか、マダムの好きなコーン。しかしインド純正の過激歯ごたえなコーンは、お客様にはお勧めできないので、インド産「アメリカンスイートコーン」である。適度な歯ごたえがあっておいしい。
その他、今がシーズンのデリー産赤にんじんにポテト、インゲンのソテーなど。これらは家政夫モハンに準備してもらった。
ところで、ポークチョップの脇に添えられているアルミホイル製物体。これはマダム米国時代からのお気に入り「ガーリックの丸ごとグリル」だ。丸ごとガーリックの頭の部分を切り落とし、オリーブオイルをたっぷりとかけてメインの材料とともにオーヴンで焼くだけ。
ほくほくとペースト状に焼き上がったのを絞り出すようにして、ソースなどと混ぜて食べるとたまらんおいしのだ。本日のところ、結果を言えば、インドのガーリックは他の野菜同様、火の通りが遅く、ペースト状にはならなかったのだが、それなりに風味濃厚で美味であった。
さて、7時ごろ、冷えた白ワインとお菓子を持って、ユカコさんとビルがやってきた。パーティーなどでは何度か皆で顔をあわせてはいたけれど、4人だけで会うのは初めてのこと。
過去の居住地(ニューヨーク、カリフォルニアなど)が共通しているだけでなく、「食べること/飲むことが好き」という点でもかなり共通の話題が多く、懐かしい店や懐かしい料理のことを思い出す。
またしても、気がつけば「声が枯れている?」というくらいにしゃべっていた。
ユカコさんもセミプレシャスストーン関係に興味があるようで、ジャイプール女子ツアーを実施しようと盛り上がる。わたしも調子に乗って、これまでの戦利品(格安ながらもすてきジュエリーの数々)を披露する。わ〜きゃ〜と騒ぐ女子。困惑気味の男子。
ユカコさんたちがジャイプールを訪れた際に飲んだ「号泣するくらいにおいしい」らしいラッシーも飲んでみたい。ANOKHIのミュージアムも行ってみたい。
早く引っ越しやら米国行きやらをすませて、インド国内探訪の旅に出たいものだ。
遠く海を渡って届いた幸せの黄色い袋入り「山芋パウダー」を加えての、お好み焼きである。
さすがに、キャベツだけでは物寂しい。夜のために解凍中のポークチョップ一切れを取り出し、骨から肉の部分を切り放し、ちまちまと薄切りにして載せてみた。
ちなみに手前のフライパンは、南インド名物、米粉&豆粉製のパンケーキ「ドサ」を焼くためのフライパンである。お好み焼き焼きや、クレープ焼きにも重宝する逸品だ。
香ばしく、いいにおいが立ちこめて来たところで火を止める。
青のりはないが、おたふくソースもマヨネーズもある。鰹節もある。むろんこれが最後のひと袋だ。「鰹節があまって仕方ない!」とおっしゃるバンガロール在住日本人の方、わたし、買います。
みなさまのご協力のもと、非常においしいお好み焼きが出来上がった。
青のり代わりの海苔が、あまりにも大雑把にちぎられているのは、「早く食べたい」という逸る心を抑えきれなかった現れである。単に雑とも言えるが。
「これ、おいしいね〜。タコが入ってるの?」
相変わらず、グルメなんだか味音痴なんだかわからん夫である。たこ焼きじゃないんだから。
「違うよ。当ててみて」
「イカ?」
「違う」
「キャベツ?」
……。
だからもう、もはや、何だっていいのだ。おいしければ。