●時間を守られても文句。
「10時に来られないの? そう。仕方ないわね。じゃ、必ず10時半。Sharp。ちょうどに来てくださいよね。直後に外出の予定が入ってますから。」
そう引越し業者の見積もり担当者に告げたのは、昨日のわたしだ。外出をするつもりでなくても、「外出をするから」と強調するのは、基本的作戦その1である。
しかし、どうせ11時くらいになるだろうと高を括り、化粧もせず、コンピュータに向かい一仕事していた10時20分あたり。……と、ピンポーンと、予定よりも10分も早く、見積もり兄さんの到来だ。
(ちょっともう、なんでこんなに早いわけ?)
早く来られたら来られたで、なにやら不満げな身勝手マダムである。
大慌てで、ともかく「眉だけ」描く。インド人を前にして、わたしの眉など、取るに足らないささやかな存在であり、最早スッピンであろうがなんであろうがどうでもいいに違いないが、一応。
さて、東京、ニューヨーク、ワシントンDC、カリフォルニアと引っ越しを重ねて来たが、この兄さんが最も綿密に部屋の内容をチェックし、ノート左手、ペンを右手に、詳細をリスト化している。
たいそうな几帳面さで、1時間近くかけて各部屋をチェックした。今回は箱詰めも依頼する予定なので、合計で3日ほどかかるようだ。
「見積もりは明日の夕方、E-mailで送ります」と、爽やかに立ち去って行った。
すでに引っ越しは今月30日と決めている。あっという間だ。万が一、不都合があった場合のことを考え、十日近く、ホテル(バンガロール・クラブ)に予約をいれている。念には念を入れておくのである。インドだもの。
ところで写真の緑と小鳥たちは、我が家の窓辺からの様子。見たことのない「黄色い小鳥(羽の一部と目の周囲が黒)」が枝に止まっていたので、大急ぎでカメラを取りにいったのだが、戻ってみたらいなくなっていた。
そのかわり、見慣れた2羽が飛んで来たので撮影。
●久しぶりにラッセルマーケット
午後、外出の帰路、久しぶりにラッセルマーケットへ。やはりここの花が新鮮で、元気がいい。バラの花束と月下香。
このところ、仕事に追われていて花を求めにいく余裕がなかった。なにしろ、すぐ近所で気軽に手に入れられるわけではないから。
新居近くにいい花屋があるといいのだが。これもまた、要開拓である。
ファンやギザ(湯沸かし器)や電気類の注文に、再度足を運んだ電気店。
今日は女主人の代わりに男性マネージャーが対応してくれた。
バンガロールで生まれ育ってのち、欧州で教育を受け、ニュージーランドで仕事をしていて、つい最近帰国して来た元NRIとのこと。
昔日の、緑豊かなバンガロールを語ってくれ、これからのバンガロールで「一旗揚げる」夢を語ってくれる。この、ごちゃごちゃとした電気店ではあるが、近い将来、市内に十店舗ほど支店を出すことを目標にしているのだという。
それぞれが、それぞれの思いのもとに、大切に働き暮らしているその断片を、拾い上げる日々だ。
●ナガランド帰りのスジャータ&ラグヴァンと夕食
インド北部、ナガランドからの旅を終えた義姉スジャータと義兄ラグヴァン、それからラグヴァン母のロティカが夕食に訪れた。
ナガランドについては、書きたいこともいろいろあるが、余力がないのでWikipediaの情報に目を通していただければと思う。インパール作戦については、こちらにも詳しく書かれている。
こんな場面で、日本とインドの結びつきを見ると、胸が迫る。
それにしても、1945年以前の日本というのは、至る所に触手を伸ばして伸ばして、兵隊たちは、足跡を残して残して。
なんと哀れなジンギスカン作戦。
まだまだ、旅をしたい場所が、インド中に、世界中に、無数にあって、やれやれどうにも人生が足りない。