- ロメイシュとウマは友人宅へ出かけている。だから久しぶりに、アルヴィンドと二人きりの静かな週末だ。
- 昨日、ウマが買って来てくれていたバケットとフォッカチオでランチ。友人がくれたオリーヴの実、それからチーズ、レモン風味のオリーヴオイルなどを食卓に並べて、よく冷えた白ワインを開けて、簡単だけれど、幸せな食事。
- 最近の、一日のうちで好きな時間は、庭に水をまく夕暮れどき。水をまくと、涼しい風が起こる。木の葉がざわめいて、カエルが鳴き始める。
- 夕べは、少し降ったけれども、まだまだ、雨が足りない。
- 夕べはアパートメントのデヴェロッパー主催によるオーナーの集会だった。3時間に及ぶ長い会議。諸問題点を皆で討議し合う。実りは、あるはず。
- 夕べは、ヴァラダラジャン家へディナーに招かれていた。しかし、どうしても一人で夜、仕事に集中したかったので、わたしは辞退した。
- 「スジャータの料理、おいしかったよ〜! 洋梨のタルトもおいしかった!」そういいながら帰宅する夫の手に、土産を期待したがなにもなく。
- わたしはといえば、ひとり日本米で「雑炊」をつくり、しかしそれなりに、開放感のある夜だった。おかげで仕事も捗った。
- 昨日、庭に、白いハイビスカスが咲いた。でも、一日限りだった。庭の草木が安定するまでには、まだ数カ月はかかるだろう。
- 庭の一画にガゼボを作りたい。
- やっぱり、ハイダラバード出張同行は、やめようと思う。引っ越しのあと、まだ片付けが完了していない資料の引き出しや、諸々の雑事をも、ぼちぼちすませたい。
- 6月中旬に、日本の母が来る。3カ月のオープンチケットで来る。日本の梅雨や暑い夏を避けて、ここでゆっくりできればいいのだけれど。
- 母もきっと、ここを気に入るはず。
- 熊手が欲しい。インドの帚は柄が短いから、腰に悪い。いや、掃除は使用人やガーデナーに頼めばいいのだが、ちょっとした落ち葉などは、自分で掃きたいのである。竹竿をつけて改良するべきか。
- 夫は今、ライブラリースペースで、詩集を読んでいる。気に入ったものが見つかると、「ミホ、ちょっと来て!」と、読み聞かせられるので、辟易している。英語の詩は、難しい。
- しかし、その、「人生の多面性」を、語る詩は、とてもよかった。
- 一つの側面から捉えがちな自分の人生を、別の側面から、客観的に眺めてみる。簡単そうで、なかなかに難しいこと。
- ゲストが来ている。ドアを叩く、その小さなノックに、あなたは気づかない。日々の騒がしい雑事に追われていて、その小さなノックが聞こえない。
- ときには、動きをとめて、耳を澄ます。
- ドアを開けて、ゲストを招き入れる。
- たとえばワインを開け、飲みながら、語り合う。思いがけない、楽しい時間がそこには、あるかもしれず。
- そのゲストは、自分のなかの、もう一人の自分。
- 庭に水をまいたり、花の様子を眺めたりすることも、かけがえのない時間。ほんの短い、しかし深い平穏のとき。
- ガネイシャ像に水を供え、香を焚き、手を合わせる刹那もまた。
- 囚われないように、囚われないように。