●デリーから、友人来る。サリーショップで過ごす午後。
バンガロールからデリー移転になったばかりの友人K子さんが、15日に開催されるバンガロールの日本人会総会(パーティー)に参加するべく、バンガロールに来ている。数日、我が家に「お泊まり」の予定だ。
デリーは猛暑であるうえ、新居はラジャスタン地方からの砂嵐に見舞われたり、ご近所の解体工事の影響で更なる砂塵に見舞われたりで、その掃除などでも疲労困憊の様子である。
いくら渋滞だ排気ガスだと言っても、バンガロールの気候はやはり、インドでも、いや世界でも、最も快適だ。空港に降り立った途端、ほっとした、という彼女の気持ちがよくわかる。
用意しておいた食事でゆっくりとランチを取った後、街へでる。本当は、Lal Baghで15日まで行われているマンゴー・エキシビションにいく予定だったが、時間が迫って来たので、後日出かけることにした。
まずは、わたしはサリーのブラウスの仮縫いをチェックしに行かねばならず、二人でMGロードへ。そのあと、FoodWorld Gourmetへ立ち寄る。K子さんも、品揃えの豊かさに、驚いている。
今夜10時すぎにはアルヴィンドも出張から戻って来るが、夕食は機内ですませてくるとのことだったので、わたしたちも外で食事をして帰ろうと話していたのだが、売っている食材を見ているうちに、「適当に、おいしそうなものを買って、家で食べようか?」ということになる。
食の詳細は後述するとして、買い物のあとは、彼女が何度か利用したことのあるというサリーショップへ。
ここにはムンバイ系ハデハデサリーなどもたくさんある。
わたしも彼女も、サリーではなく「レンガ・チョーリー(Lehnga Choli)」と呼ばれる上下に分かれたドレス(右写真)を着てみたいと意見が一致し、レンガ売り場へ直行する。
どんな派手なものでも、試着は自由だ。
毎度おなじみ、チャイを出してもらい、おしゃべりをしつつ、バタバタと次々に広げてもらう。
真っ赤なシルクにカラフルな石もあでやかなもの、アイヴォリーの上品なもの、深海のようなブルー、目が覚めるようなピンク……。
二人で交互に試着室に入り、あれだこれだと「お試し」をする。
そもそも、わたしは別に購入するつもりはなかったのであるが、もしもいいものが見つかれば、という気分であった。
サリーも含め、このような凝った商品はたいていが「一品もの」で、一度逃したら、二度と手に入らない場合が多い。
以前ムンバイですばらしく美しい赤のレンガを見つけたのだが、あまりの派手さに躊躇って購入せずにいた。
今思えば、あのようなエレガントなレンガに未だ出合っておらず、買っておけばよかったと後悔される。
今日、シックな感じだが存在感のある、すてきなレンガに巡り会った。欧米でのパーティーでも違和感なく着られるドレスだ。
なんと、2時間以上も店に居座り、あれこれと試した挙げ句、彼女もわたしも、それぞれにとても似合う(と思われる)1つずつを見つけることができた。
そもそもわたしは、衣類を買うときは、ほとんど一人、もしくはアルヴィンドと出かけるが、こうして友人と一緒に試着して、批評しいあいながら選ぶというのも、なかなかに楽しいことだと思った。
甘くてミルキーなチャイを2杯も飲み干し、店を出る頃にはすっかりあたりは暗くなっていて、食料を買っていてよかった、外食している時間はなかったね、といいながら、帰路についたのだった。
●地中海な、晩餐
そして帰宅後。すでに時計は9時近くをさしている。お腹がすいた。手早く夕食の準備をする。
ノルウェー産のスモークサーモン
スペイン産のプロシュート(生ハム)
コルドンブルー推奨のオリーヴ
デンマーク産のブリー(チーズ)
イタリア産のケイパー
オランダ産のゴーダ
タイ産のエビチップス
バンガロール産のトスカン・ブレッド
ナシック(インド)産の白ワイン
それにトマトとキュウリのサラダやブロッコリーをゆでたものなどを食卓に並べる。
インドで、こんなにさまざまな食材が手に入るなんて、なんてすばらしいことだろう!
いずれの商品もが選択肢は少なく、決して上質の味だとはいえない。しかし、この国で、この場所で、こういう雰囲気の食卓を実現できるだけでも、楽しく幸せなことだ。
機内食などではなく、アルヴィンドにも食べさせたいところだが、あいにくフライトは2時間遅れで帰宅したのは深夜を過ぎてから。
ともあれ、K子さんと二人で、ゆっくりと、語り合いながら夕食を楽しめたのはよかった。
夫は1週間のうちにも、なんだか髪が伸びていてむさ苦しい上に、疲弊しきっている。おいしいマンゴーを差し出したところ、少々回復した。夏の間は、「マンゴー」もしくは「ライチー」作戦が有効だ。
それにしても、全体的、平均的に「毛」が多いインド人。我が夫もその例に漏れず、髪はすぐに伸びる、髭はすぐに伸びるで、油断するとあっというまにむさ苦しくなる。飛行機の長旅などで、ふと気づくと無精髭が頬からあごにかけてを覆い、人相が悪く見える。
我が家ではその状態を「クリミナル・フェイス(犯罪者顔)」と呼んでいる。
そんなことはともかく、今週末は、彼にも散髪に行ってもらいたいものである。