そんなわけで、本日、我が誕生日であった。炸裂するがごとく生きよ。とまるでメッセージのように、激しいバースデーケーキである。
「わたし、何歳になるか知ってる?」
と尋ねると、
「35歳」
と迷わず答える夫。事実を受け入れたくない、せめて自分と同じ年齢にとどめておきたい、という心情が現れた即答ぶりである。
気力、体力、意欲、情熱、その他諸々を総合して判断するに、35歳どころか、30歳と言っても過言ではない。この厚かましさ、心意気で、この一年も爽やかに駆け抜けたいものである。
さて、今夜のディナーは、1カ月半前にコラマンガラにオープンしたばかりのイタリアン、Via Milanoへ。夫に店の連絡先を伝えておき、予約してもらっていたのだった。
この間、Samyakというサリー専門店で購入したサルワールカミーズを着用して、お出かけである。
そこはかとなく、KENZO風なこのドレス。
ラジャスタン地方の衣装に着想を得てデザインされたものらしい。
アルヴィンドは「マタニティ風」なところを嫌っているのだが、着心地がよく、裾が広がったりもして、なかなかにキュートなのだ。
金曜の夜は、いつもにましてかどうなのかわからんが、渋滞著しく、車はなかなか進まない。空腹のあまり、たどり着くまでに無口になりかけていたが、店に足を踏み入れた途端、舞台がバンガロールからマンハッタンに瞬間移動したような気分となり、一同ご機嫌になる。
この店。ムンバイ出身の、年のころなら30代前半と思しき男性がオーナー。オーナー自らテーブルを巡回し、ゲストをもてなしている。忙しそうな彼をつかまえ、アルヴィンド、またしても話を聞き出す。
子ども時代から20年ほど中東に暮らし、大手企業に勤務していた彼。そろそろ母国に戻るべきだろうと考え、諸々の経緯を経てバンガロールに、このイタリアンレストランを開くことになったという。
あれこれと話を聞いたが、長くなるので大幅に割愛。ポイントは、シェフがイタリアのヴェネツィア郊外出身のイタリア人男性であるということである。
本日、オーナーのすべて勧めに従って、料理を選んだ。前菜はパルマ(プロシュート/生ハム)とモッツアレラチーズのサラダ、そしてエビのアボカドソース。
その後、マルガリータ・ピッツアを頼み、主菜にレッドスナッパー(赤鯛)、それからポークチョップを。
パルマを口にした途端、十数年前に取材で訪れたところのイタリアはパルマの町並みが、脳裏に浮かんだ。まさにそれは、久しく口にしたことのなかった美味なる生ハムであった。
パルマとは、イタリアの街の名前である。パルミジャーノチーズ(パルメザン。しかし、あの粉ではない)の産地であり、生ハムの産地でもある。チーズを作る際に牛乳から除去される水分を、豚の飼料にすることで、豚の肉が柔らかくなりすばらしい生ハムが作られるという。
オーナー曰く、その生ハムを、産地から直送しているのだとか。塩分も控えめで柔らかく、インドで食べた生ハムの中では一番の味わいであった。ちなみにモッツアレラは、Park HotelのイタリアンI-taliaと同様、国内(バンガロール郊外)産。牧師が作っているのだとか。モッツアレラの味は格別とはいえないものの、しかし、それなりにおいしい。
ピッツアの生地も香ばしく、小麦粉は国産の厳選品を使用しているとのこと。
更にはレッドスナッパーの料理がまた格別であった。と、詳細を書き連ねている場合でもないので、この辺にしておく。ともかく、夫も母も「おいしいね」「おいしいね」と大喜び。「インドにしては」と但し書きを書かずとも、この店の料理はおいしかった。
オーナー自ら、火花飛び散らしつつ、ダイナミックなバースデーケーキを運んでくれたのだった。
たまたま日本人のグループが食事をされていて、その中にこのブログを読んでくれている女性が二人いらして、お祝いの言葉をかけてくださった。
思いがけぬ祝福もまた、とてもうれしかった。
ご機嫌な我々はしばし話をして、記念撮影までもしたのだった。
少々自宅からは遠いけれど、この店ならばまたしばしば訪れたいと思う。
先日のババ・リン氏の南京酒家に並び、バンガロールにも少しずつ、インド料理以外で「また来たい!」と思える店があるのは、本当にうれしいものだ。
楽しいお誕生日の夜をありがとう!
Via Milano
No. 607, Asha Plaza 3rd Fl. 80 feet Peripheral Road, Koramangala
080-4130-9997
(I highly recommend the Italian restaurant "Via Milano" in Koramangala.)