かろうじて、日本米はある。醤油は、銘柄さえ問わなければ、インドでも買える。味噌はない。母持参の日本食関係は、ほとんど食べ尽くされている。
「わたし、お味噌汁が恋しいなんて、まだ全然思わないの」
「お刺身とかお魚が食べたいとも思わないのよね〜」
帰国を前にして、なにかと未練がましそうな母。
インドの食材で、3カ月もの間、幸せに過ごせていただけたのは光栄だが、だからって、3カ月有効の航空券も切れるし、シンガポール行きのチケットも買ったし、シンガポールのホテルも予約してるし、なんぼなんでん来週には帰っていただかないと!
昨日は昨日とて、一日外出。アルヴィンドがいないとなると夕餉はかなり手抜き。本日わたしは終日仕事で、せめて夕食は外へ出ようと、TAJ RESIDENCYのダイニング「モザイク」へ出かけたのだった。
毎週水曜日は、インドのストリートフードなどを含むインド料理のブッフェが楽しめる。料理だけでなく、マジシャンがいたり、似顔絵描きやタロット占い、メヘンディ(ヘナによるタトゥー)もやってくれるなど、ちょっとしたエンターテインメントが楽しめるのだ。
料理は可もなく不可もなく、というところだが、食後はタロット占いをやってもらい、左手にメヘンディを施してもらい、さらには似顔絵まで描いてもらって、非常に楽しいひとときだった。
何より、タロットカードのあたり具合に驚く。わたしも母もそれぞれにやってもらったのだが、「どうしてそんなにも?」というような適切なカードが現れるのだ。二人、思い当たるところだらけで、いろいろと考えさせられ、同時に励まされるような思いにさせられたのだった。
思えばインド移住直前の2005年9月、今からちょうど2年前にバンガロールへ来たときに、やはりここへ来て、タロットカードで占ってもらったのだ。
あれから2年。我々夫婦は、毎度試行錯誤しながらも、なかなかにがんばっているものである。これからも、力を合わせていこうじゃないかと、タロットカードでしかし、思いを新たにする夕べである。
妻は呑気に母と遊んでいる間も、ハニーはデリーでお仕事である。この先数週間の彼は出張三昧。金曜日にはバンガロールに戻ってくるものの、土曜日には香港へ。それから更には、ムンバイ→バンガロール→香港→バンガロール→コロンボ(スリランカ)と続くのである。
そして10月は半年に一度の米国行き。やっぱりモルジブに行く隙間がない。
ところでこの似顔絵。「あなたの趣味は?」と聞かれたので、母は「花の絵を描くこと」、わたしは「文章を書くこと」と答えたところ、このようにデフォルメして描いてくれた次第。無論「文章を書くこと」は趣味ではなく仕事のような気もするのだが、とっさに「WRITING」と答えてしまった。
それにしてもだ。我が母はといえば、自分の似顔絵を見て、
「いやだ〜。目の下の皺まで忠実に描かれてる! わたしの鼻って、上を向いてるのよね〜!」
一方、わたしの似顔絵を見て、
「ちょっと、目が大きすぎない? 美化され過ぎてない? 皺がないわねえ」
うるさいのである。ほっといてほしいのである。
さてさて、明日もまたお出かけである。
そろそろ日本は、涼しいだろうか。