●自分自身の使い方、再考すべし。
毎日、なにかが起こる。特筆すべき、なにかが起こる。毎度書いていることだが、見過ごすには尽きないことが余りにも多いインドでの日々で、ここに書き留めているのは日々の出来事の、ほんの一部に過ぎず。
昨日、久しぶりに「過去のタイトル一覧」を更新するべく作業をしつつ、この2年近くのブログのタイトルを走り読むに、どれだけ濃厚な日々だったかが偲ばれる。
そして書き留められなかった出来事を、書き留められた出来事の向こうに透かし見て、日々の重さを思う。
それにしても、この2年足らずのインド生活におけるハイライトは、「プチ家作り」だな。仕事と並行して、わずか1カ月半で新居内装工事を完成させ、引っ越しまでやり遂げたことを、本当にすごいと思う。我がことながら、こんなインドで、どうしてできたんだろう、とすら思う。自画自賛せずにはいられない。
わたしは、ライターとか編集者とかいう以外の仕事で、もっと「向いてる世界」があるんじゃないかとすら思う。わたしの天職とはなんなのだろう。
どうにも、「自分自身の使い方」を、少々間違っているような気がする昨今。もっと有効利用する方法を見つけ出さなければ。
●夫のビジネスに「気分的に」巻き込まれ過ぎる日々。
出会った当初から、夫はわたしに仕事の話をよくしていた。仕事を家庭に持ち込むこと100%の男である。彼の仕事の話は、わたしの仕事世界とはかけ離れている上、毎度「即座に桁数を計算できない数字」がちりばめられた会話だから、右から左に聞き流すことも多い。
しかし今回は、かなり事情が違う。彼が数カ月間かかわっていたDealが、ここ数日のうちでDoneするため、なにかと緊張度の高い電話が多いのだ。彼の属する業界(ヴェンチーキャピタル/ プライヴェートエクイティ)についての説明は大幅割愛するが、ひとことで言えば「投資」である。
彼の会社が、彼の見つけるところの、インドにおける「将来性豊かな会社」に投資する。
と、書いてしまえば簡単そうだが、投資を完了するまでの過程は、あたり前だが波乱に満ちている。
今回もまた、投資する額が数十ミリオンUSドル(数十億円)と、なかなかに大きい。当たり前だが責任は重い。
現在、インドオフィスは彼一人。従ってはわざわざオフィスに行かず、ここ数日は自宅仕事である。香港、ニューヨーク、ソウル、シドニー、カリフォルニアのスタッフと、ここバンガロールの彼とが同時にカンファレンスコール(電話会議)を行うこともあり、早朝、深夜と時間帯もばらばらで、オフィスに行くより家で仕事の方が時間的にも効率がよいのだ。
おまけに空いた時間には「クリケットの試合」が見られる。
階下のテレビは付けっぱなしでMuteにしつつ、電話をし、コンピュータに向かい、ふと思い立ったように階下に下りて試合を見ていたかと思ったら、庭に出てうろうろと歩きながら電話をし、「ガーナ!」と叫んで好物のガーナチョコレートを取り出して食べ、かと思ったら、再びコンピュータに向かっている……。
プリントアウトされた膨大なドキュメントをファイルするのを手伝いつつ(紙に穴を開けて閉じたりするのは、わたしの方が得意なので、ときに任されるのである)、人の仕事ながらもうんざりする内容の濃密さだ。
米国時代とインドとでは、傍らで聞いているだけで克明にわかるほど、そのプロセスにかかる「手間」が違う。ビジネス法はもちろんのこと、人々の「気質」が違う。
更には、土曜日曜にも関わらず、
「最後の最後になって、それはないやろ!?」
みたいな電話がかかってくる。マダムの引っ越し内装工事どころの緊張度ではないのである。とはいえ、労働力の点から言えば、負けてはいないと自負しているのだが。
というような、ここ数日。
わたしはわたしとて、ここ1週間は仕事が一段落していたにも関わらず、相変わらず、あれこれが舞い込んで来る。
上階からの水漏れ対策やら、ネズミとの闘いやら、各方面への買い出しやら、キッチン排水溝の抜本的修繕やら、庭木の手入れやら、なんやらかんやら、週末とはいえ、用事が次々に舞い込んでくることの不思議。
旧家政夫モハンが去りしあと、メイドのプレシラが掃除だけはしてくれる。今はその状態がとても快適。自分で毎日料理を作っているが、その方が自分の性にあっていると痛感する。インド家庭料理もいいが、やっぱり自分で作る料理がおいしい。インドのさまざまな野菜など素材を試すのも楽しい。
と言いながら、上の大きな写真は、プレシラ作、土曜のブランチ。月に2回ほど、彼女が自主的に作ってくれるのだ。どうも彼女は、「アルヴィンドがインド料理を食べたいに違いない」と思い込んでくれていて、「サーのために」と、作ってくれたがるのだ。
尤もアルヴィンドも「おいしい!」と喜んで食べて、「おいしかったよ!」とプレシラに報告するので、彼女もうれしそうだ。
ちなみにこの写真の料理は「南インド」の料理。白っぽいパンは、イディリと呼ばれる米粉でできたもの。かるかん風の舌触りが、好き嫌いを分つところ。わたしは正直なところ、ちょっと苦手。パンケーキ状のアッパムやクレープ状のドサの方が好きだ。いろいろ食べ物についても書きたいが、大きく割愛。
日本経済新聞社編、日経ビジネス文庫の「インド:目覚めた経済大国」。
シンガポールに行ったときに買ったのだが、数あるインドビジネス本の中でも、かなり優れた内容ではないかと思う。
インド関連のビジネス本を読破した訳ではないので、一概に優れているというのも間違っているかもしれないが、ともあれインド経済のバックグラウンドから最新情報までが、かなり綿密に広く網羅されている。
日本人がインドでビジネスをするうえで最低限知っておきたい内容が客観的に、そして簡潔にまとめられている。
住んでいる者から見ても、内容に違和感がない。
わたし自身、ここ1年のうちに、さまざまなリサーチやレポート作りを行ってきたが、そして夫を通してもインドビジネスの一端を垣間みる日々だが、それら経験値に照らしても、頷くところ多く、また新たに知ることの非常に多い、役立つ一冊である。
無論、「激変中のインド」であるから、情報はどんどん古くなる。あと半年もすると「若干古い内容」というイメージになりかねないが、ともあれ、雨後の筍の如く、インドビジネス本もいろいろあるかと思うが、この1冊は必携ではないかと思われた。
●一転二転の末、結局今回も米国のみ。しかもニューヨークのみ。
なぜ半年おきに米国に行かねばならないかは、以前も書いたので割愛するが、ともかくまたしても米国。今回こそは欧州のどこかに立ち寄って1週間は滞在したい、その後米国だ、と思っていたのだが……。
やはり今回も米国のみ。
当初はニューヨーク&サンフランシスコの予定だったが、彼の仕事の都合もあり、一都市ニューヨークに集中することとなった。わたしとしては、その方がいい。半年前がサンフランシスコ(ベイエリア)だったし。
24日から約2週間。楽しみだ。
久しぶりに、髪も切らねば。
●平穏に過ぎゆく日曜の夜。ラルとの再会。
日曜の5時。今日はわたしも夫も一緒にカニンガムロードのスパ、SPA.CEへ予約をいれる。「またスパかよ?」と思われそうだが、月に2回程度である。あれこれがんばっているのだもの。このくらいの贅沢は必要なのである。
わたしはフェイシャルとボディマッサージ。夫はヘアカットとボディマッサージだけのはずだったが、ついでに「ミニフェイシャル」もやってもらったらしい。
一度ニューヨークでわたしがフェイシャルを勧めて以来、夫も結構、気に入っているのだ。
ちなみに米国、ニューヨークのスパではビジネスマンもフェイシャルを受ける。決して珍しくはない。それからネイルサロンにビジネスマンの姿も見られる。なにもペディキュアやマニキュアを塗るのではなく、手足の指先を手入れしてもらうのだ。
男性でも、身繕いは清潔な方が好ましいからね。
わたしより一層、フェイシャル効果のあるハニー。髪の毛もさっぱりと、おでこもすべすべで、さて夕食。向かう先は、ババ・リンの南京酒店。(またかい!)
と、カニンガムロードを歩いている途中で、懐かしきオートリクショードライヴァー、ラルに再会! 思わず夫もわたしも、握手を交わす。
まだバンガロールに移住する前、下見に来ていたときに、わたしは彼には何度となく、世話になったのだ。オートリクショーのドライヴァーながら、英語は流暢だし、街の地理には詳しいし、いい店を教えてくれるしで、本当に助かったものだ。
しかも彼とは、何度も偶然に出会ったのだった。
最初の出会いはTHE WINDSORの門の前。
ホテルの人から「行かない方がいい」といわれたラッセルマーケットへも、彼が連れて行ってくれた。
翌日もまた、偶然にホテルの門前で、会った。
旅の最終日にも、今度はアルヴィンドと一緒のときに、会った。
そして半年後。今度は近いとはいえ別のホテル、THE TAJ WESTENDで、偶然に会ったのだ。
インドに移住した直後もまた、彼は車に乗っているわたしを見つけて、オートリクショーでそばまで走りよって来て、手を振って去って行ったものだ。
かなりの「ご縁」である。
当時は携帯電話を持っていなかった彼。「僕らは貧しいから、電話は持てない」と言っていた。
「携帯電話、持ってる?」
と、尋ねたら、しかし今回は、
「もちろん!」
と言って、名刺を出してくれた。オートリクショーのイラスト入り、キュートなカードである。
ここ数年のうちに低所得者層にも携帯電話が浸透している、まるで象徴のようである。
このごろは渋滞も格段とひどく、インフラストラクチャーもひどく、商売はなかなかに大変らしいが、でも4人の子どものお父さん。がんばっているらしい。
すでにここで暮らし始めた今となっては、オートリクショーを利用することがなくなったけれど、でも、機会があれば、彼のサーヴィスを利用したいし、してほしいと思う。
そこでとりあえず。
バンガロールでお勧めのオートリクショードライヴァー
LAL: 99801-00107
さてさて、ガルーダモールへ入ろうとしたら、こんどはASIAN ARTSのエイジャズに遭遇。明日から故郷のカシミールへ休暇で出かけるらしい。
このブログを毎日楽しんでいるという彼。実は以前、彼の家族だか親戚だかが経営しているTHE LEELAの中の土産物店を訪れたので写真を撮っていたのだが、載せないままだった。
「写真を撮ったと聞いたけど、まだ、載せてくれてないよね。探したんだけど」
と、プレッシャー。義理がある訳でもないのだが、でも、せっかくなので、載せておこう。ASIAN ARTSの方が規模がもちろん大きいが、こちらは旅行者の持ち帰りにも便利な小さめな品々が、揃っている。
ALI BABA'S
C-21, Level C, Leela Galleria