買い物の途中に立ち寄ったお向かいのワールドトレードセンターで、テキスタイルフェアが開かれていた。いつものように、ふらりと見学。
と、「絞りのサリー」の専門店が出ていた。途端に目が釘付けだ。壁に吊るされた色とりどりのサリーに目を走らせる。
昔ながらのデザインが主流を占める中、品揃えの豊富なこの間の店でも見つけられなかった、伝統的でありながら、モダンなスパイスが利いたデザインの「黒いサリー」を発見!
一目惚れである。
上の写真の賑やかな彼らは、店主とその家族親戚。このフェアに参加するため、一族がそろってアメダバードからやってきたのだとか。右端のおばさまが、オーナーの妻でありデザイナーである模様。
英語を話さない彼女のために、甥やら姪やらが、通訳をかってでてくれる。
「クレジットカードで払えるの?」
と英語で尋ねると、
「イエス!」と「ノー!」が同時に返ってくる。
やんややんやと猛烈に騒がしくて、しかし楽しげだ。しかし、買い物は進まない。それでもあれこれと交渉を進め、その黒いサリーを買うことにした。
彼らは自分たちでサリーを作り、ここで直接販売しているから、つまりは「卸値」である。決して安くはないが、しかし店で同じようなクオリティのものを買うよりも3割以上は安い。はずである。
インドにおけるサリーや宝飾品などの手工芸品は「一期一会」であることは、これまで幾度も記した。欲しいと思った時に買っておかなければ、二度と出会えないものがほとんどだ。
このサリーもまた、そんな雰囲気を漂わせていた。
このごろは、サリーを選ぶ目が超えて来たと自負している。移住当初の1年目に買ったものは、「失敗したな」と思われるものも目立つ。
どこがどう失敗なのか、を説明するのは難しい。ともかくは、いろいろなサリーを見て、審美眼を育てることである。そうすれば、自ずと見えてくる。
サリーに限らず、インドには、いろいろと「たくさんを、しっかりと見つめて経験を積み、見極める目を養うべき」ことがたくさんあるように思う。
サリーについても、語りたいことは尽きぬが、ともあれ、いい一枚に巡り会えてよかった。
絞りのサリーは、腰から下に巻き付ける部分だけをしっかりとアイロンをかけてもらい、表に出てくる部分は絞りのよさを生かしてアイロンはかけないままにしてもらう。
全部アイロンで伸ばしてしまう着方をする人も少なくないようなので、そのあたりをしっかりと伝えることがポイントである。早くブラウスとペチコートをあつらえて、近々着てみたいものだ。