インドにおいて、手工芸が生き続けている事実の裏にあるもの。ということについては、時を改めてきちんと記したいと思いつつ幾星霜。
先日、サリーのブラウスををテイラーに注文すべく、3年ほど前まで、よく利用していたデザイナー、ヘレナのオフィスに連絡をした。
ヘレナはもともと洋服のデザイナーで、サリーのブラウスの仕事はあまり好きではないようだったが、仕上がりがきれいなので、気に入っていたのだ。
その後、ムンバイの二都市生活になってからは、カフパレードの自宅付近にいいテイラーがいたので、そこを使っていた。
今回、久しぶりにヘレナに電話をしたところ、別の女性が出た。しばらく前に、ヘレナからビジネスを買い取り、同じ場所で仕事をしているという。ヤシーラという女性だ。
ともあれ、ヘレナのときと同じ職人が作業をするというので、それならば大丈夫だろうと訪れた。
彼女もまた、インド服よりは洋服をデザインするのが好きらしく、サンプルを見せてくれる。ウェブサイトに紹介する旨を伝えたら、あれこれと取り出してくれた。
艶やかな色のドレス。随所に施されたビーズワークが印象的だ。インドでは、このようなビーズワークの職人も数多く、工房で職人たちがちくちくと針仕事をしている様子を、よく見かける。
従来、サリーなどの民族衣裳に施されていたインドの伝統的な手法が、洋服をきらびやかかに演出するのだ。
自分が好みの布を持参すれば、彼女と相談しながら作ってもらうこともできる。この店に限らず、このような個人経営のデザイン&テイラーのショップは、わたしが知っているだけでもバンガロールに4、5カ所ある。
布は買い貯めているものの、つい既製品を買ってしまい。サリー以外の服を作る情熱が不足しているのだが、こういうドレスを見ていると、布を持参して、早いところ、何か作りたいものだと思う。
ちなみに彼女、ヤシーラはクールグ出身だという。昨年、コーヒープランテーションを訪れた、あのクールグである。
あのときにも記したが、クールグの人々は、アレキサンダー大王遠征時に攻め入って来た兵士たちの末裔だけあり、長身で、鼻が高く、きりりとした顔立ちの人が多い。
シンプルなドレスも、この刺繍が入るだけで印象がかわる。何よりも、好きな色、好きな素材、好きなデザイン……と、「オリジナル」をお願いできるところがいい。
ビーズワークの見本を見せて欲しいと頼んだら、ファイルを持って来てくれた。以下、参考までにどしどしと紹介する。
ご存知かと思うが、写真をクリックすると、鮮明で大きな写真が現れるので、ご興味のある方は、じっくりご覧あれ。
もう、たまらんよ。こういうものが好きな人には。もう、どうするこれ? って感じ。
いかがでしょう。こういうパンチの効いた技を持つ人たちが、さりげな〜い住宅街の一隅で、さりげな〜く黙々と作業をしているインド。たまらんっすよ。ほんと。
実は4年前、OWCのロードトリップでも、刺繍工房を訪れたことがあり、「なにか作りたい!」と思ったまま、歳月が流れていたのだった。
そのときの記録はこちらだ。見ているだけでも心躍る、職人技の宝庫だ。
■豪雨の日々。余剰人員。刺繍工房を見学。2007/09/19
この店については、後日改めて訪れて、今でも営業しているようであれば、museindia.infoに載せようと思う。
なお、ヤシーラの連絡先は、下記の通り。あらかじめ電話でアポイントメントを入れておく方が無難だ。
YASHILA
97406-22717
9/3, Hayes Road Cross, Richmond Town