昨日は、我が家で小パーティを開いた。先日、夫がYAHOO!のカンファレンスへ赴いた際、マルハンの姓を持つ男性と出会った。
マルハンという名前は、パキスタンとの国境に近い、パンジャブ州が起源らしく、少ない名前だという。親戚以外でマルハン姓に出会ったのはお互い初めてだということで、話が盛り上がったらしい。
彼は籍を入れたばかりの、ブラジル人の妻がいるとのこと。国際結婚をしているあたり、「似たような血」が流れているのだろうか。
ともあれ、夫婦そろって集まろうということになり、彼ら、サチンとマリア、そして義姉のスジャータとその夫のラグヴァンを招いて、夕食を共にしたのだった。
初めて出会うのに、そして遠縁かどうかもわからないのに、すでに「親戚のような気分」で打ち解けているところが面白い。
サチンは盲人向けのコンピュータ開発の会社を起業。マリアはワシントンD.C.拠点のNGOに勤務。彼女がムンバイオフィスで働いていたときに、サチンが仕事の件で訪れ、出会ったという。
マリアは日系ブラジル人の友人も多く、次の夫婦での旅行先は日本と決めていたらしい。わたしが出した日本風味の料理も、みな喜んで食べてくれた。
さて、夕べの話はさておき。
金曜日に訪れた、ネイチャーバザール(DASTKAR NATURE BAZAAR)の記録、写真をメインに、ざざ〜っと載せておこうと思う。
なにしろ、前回の記事でご紹介した「奇祭」で、すっかりやられちまっていたもので、うっかりすると、書き損ねたままになりそうだから。
DASTKARとは、約30年前に発足されたNGO団体。インドの19の州の200を超える職人たちを束ねている。彼らへの技術支援を行うと同時に、販路の開拓をサポートしたりもしているようだ。
バンガロールで毎年開催されているこの大規模なネイチャーバザールだけでなく、インド各地で、大小の展示会を行っている様子。
ちなみに、14日まで開催されているこのバザールには、100を超えるブースが出ており、さまざまな工芸品を目にすることができる。詳細は数日前に記したので、興味のある方は、ぜひ訪問されるといいだろう。
ローカルフード探検のあと、サリーを購入したいと言っていたPAKAKO隊員。角度によって、ピンクにもオレンジにも見えるモスリンがとてもお似合い。
今年はしかし、サリーのブースが去年よりも少ない。初日でまだ準備ができていなかったのか? とはいえ、目を引くテキスタイルは数多く、あった。
派手に彩色された絵画が多い中、モノトーンの細密画が、上品で美しく見える。
オーガニックコットン、手織りコットンなど、素朴な風合いの木綿製品がいい感じ。この店の部屋着用パンツは、昨年購入した。涼しくて、快適な履き心地だ。
カラフルな端切れで作られた髪飾りやイアリングもキュート。若い女性たちのカジュアルなファッションに似合いそう。
「これは何?」と尋ねたら、左下は、コンピュータまわりのコード収納バッグ。右は、コードをぐるぐると巻き付けるもの。なんというか、ピンポイントな商品だ。
確かに、コードというのは、不思議なくらい、ねじれるもの。特にアルヴィンドの机周辺のそれらは、すさまじい。夜中に「ねじり小人」が来て、ねじねじしてるんじゃないかと思うくらいだ。
妻はゴムで束ねたりするなど、時折手を加えているのだが、埒があかない。といって、この商品がどこまで実用的なのか、微妙に判断できず、購入は見送る。
これは象のふんを原料に作られた商品。デリーにある常設の工芸品村、ディリ・ハートでも売られている、多分、人気の商品。
一目見て気に入り、触って持ち上げて気に入ったこの商品。マンゴーの木で作られた器。何に使う方はておき、その滑らかな手触りがやさしくていい。右側の丸い形のを選んだ。
ヤシの木やマンゴーの木、真珠貝を材料としたカトラリー類もあれこれと。
川面に生える草(葦?)で作られた籠やマットの数々。ふたつきの籠は、玉ねぎやジャガイモなど、冷蔵庫に入れない野菜を入れるのに便利。
それからすぐに熟れてしまうインドのバナナなどを入れるのにも好適。なにしろ、インドのバナナはすぐに熟して香りを放ち、小バエを寄せつけるので。
蓋に小鳥がついた見た目キュートなこの籠。でも、穴があいていて、あまり実用性はないと見られる。なにか別の用途に用いるべし。
本日のハイライトは、このごろ気になって仕方がないオリッサ州の絣(かすり)のサリーのブース。このところ集中的な「リサーチ」により、目が肥えて来た我。
一目見て、上の写真のサリーに心を奪われる。色合い、技巧の精緻さには、「芸術の極み」を感じずにはいられない。
「そのサリー、広げて見せてくれませんか?」
と頼んだところ、お兄さんが、
「これはマスターピースです」
と言いながら、恭しく広げてくれる。
なんと、このお兄さん自身が職人らしく、1年半かけて織り上げたとのこと。ちなみに彼は、なんたらかんたらという賞も受賞していて、かなりの腕前のようである。
彼の「傑作」を軽く羽織らせていただく。……ともう、これがまた、なんとも言えぬすばらしさ。上品な色合い。肌触りのやさしさ。これに触れたら、もう他の商品が色あせて見えるから困る。
隊員以外にも、2名の友人と一緒だったのだが、皆を呼んで、このすばらしいワークを堪能する。みなさん「布好き」ということもあり、
「うわ〜」「きれいね〜」「すばらしい」と口々に。
そのうちにも、突然、空がかき曇って、大雨。狭いブースにひしめき合って、雨宿り。雨宿りをしながら、このサリーの模様についての説明などを受ける。
ヒンドゥー教の寺院が無数にあるオリッサ州。中でも代表的な3つの寺院のシンボルが、織り込まれているのだという。
あれこれと、見れば見るほどに、その世界の広さを見せつけられるインドのテキスタイル。それにしても、雨は降り続け。開場のグラウンドは水浸し。
せっかくのイヴェント初日でこんな雨では気の毒だな……などと気を揉むのはわたしたちくらいのもので、店の人たちは、慌てるでもなく、困るでもなく、静かに雨を眺めている。
父親からの技術を受け継ぎ、絣の技術を守っている若き彼。このような人がいてこその、守られゆく伝統なのだろう。
そんなことを考えるうちにも、欲しくてたまらなくなるのだが、「奇祭」に毒された頭では、正常な判断ができない。というわけで、この日は、大物ショッピングはせずのまま、であった。
が、今、羽織っている自分の写真を見ているだけでも、いいなあ、と思う。
サリー。きりがなさすぎて、怖い。
奇祭といいテキスタイルといい、インドとは、いちいちエネルギーを使わせられる国である。
ありがちな真鍮の銅像よりも、マイルドな色合い。これは真鍮ではなくピンクマーブル、大理石を彫って作られたものらしい。
この細い鉄棒で彫っているとのこと。なんとまあ、彫りにくそうな工具だこと。右上は、ヨガをするガネーシャ。かわいい。かわいくて、うっかり買いそうになるが、自分の判断力を疑って、買わず。
雨が降ったこともあり、丁寧にすべてを見て回れなかったことから、改めて週明けに出直すことにした。
ローカルフード探検レポートは、また改めて。