デリーに来ると、「歴史の重さ」に圧倒される。家にいても、外に出ても。
パパの他界直後の大掃除では手付かずだった写真や書類の整理をしようと、埃かぶったアルバムなどを取り出す。モノクロの写真に、インドの歴史が映し出される。40代で慢性白血病を発症した実母の、圧倒的な日記に絶句する。
これはもう、さらっと片付けられるものではない。後回しだ。
昨日は夫と二人で外出。まずはコンノート・プレイス界隈へ。今回の旅で大切なミッション、それは夫の寝間着用の「パジャマ&クルタ」を買うこと。英語で「パジャマ」とは寝間着を意味するが、これはヒンディー語でズボンを意味する「パージャーマー」から来ている。ゆったりとしたインドのズボンを、英国統治時代に英国人が寝間着として着用していたことから、寝間着全般をパジャマと呼ぶようになったらしい。
つまり、パジャマとはズボン、クルタとは上着のことだ。夫は子供のころから、白いパジャマ&クルタを寝間着として着用しており、他の一般的な寝間着では寝られない。パパの存命中は昔ながらのお店から購入し、バンガロールに来るたびにお土産として持ってきてくれていた。
パパがいなくなり、白かったはずのパジャマはすべて、薄ら灰色となり、ところどころ破れたりもしているものばかり。新しいものをネットなどで注文するも、お気に入りの銘柄でなければ、どうもよくないらしい。何度か購入&返品を繰り返した末に、妻は匙を投げていた。
そんな次第で、パパが行きつけだった衣料品店へ趣き、どっさりまとめ買い。これで向こう何年かは必要ないだろう。
その後は、マルハン家やミューズ・クリエイション(NGO)がお世話になっている会計士事務所を訪れ、長いお付き合いの会計士氏にご挨拶。外国人としてのわたしが、この国で仕事をする上での、気をつけねばならないことなどを、改めて確認する。どんなに長く暮らしても、我は外国人であるには変わりなく、最新の情報をアップデートしておく必要がある。初心を忘れてはならないなと思う。
会計士事務所のそばに、The Shopがあったので立ち寄る。このお店のハンドブロック・プリントのテキスタイルはとても魅力的。数は少ないもののメンズのクルタやシャツもある。寝間着ではなく、外出用にすてきなクルタを発見したので購入。
買い物が好きではない夫。バンガロールではほとんど衣類を買うことがなく、年に一度のニューヨーク旅でまとめ買いをしていた。しかし、ニューヨークへも、3年訪れていない。ゆえに久々のお買い物なのだ。
その後は、インド門を経由して、カーン・マーケットへ立ち寄りランチ。なんとなく入った店の雰囲気がよく、料理がおいしくて、うれしい。
日用品店から高級ブティック、飲食店と、ジャンルもバラバラな店が立ち並ぶ非常に便利なカーン・マーケット。デリーに来るたびに訪れており、今回もじっくり回りたかったが、自分のミッションをすませた夫が帰宅したがる。また改めて来よう。