昨日は「Red Lilies, Water Birds サリーを巡る9つの物語」と題された展示会へ赴いた。スタッフの説明を受けながら、一枚、一枚、見つめて学ぶ。絣(かすり)、絞り、バラナシ織り……。
そこには、英国人が母国に持ち帰り、英国で機械織りされたサリーもあれば、インド人が中国に渡り、中国の意匠を持ち帰って再現したサリーもある。
マントラが折り込まれた僧侶のためのストールもあれば、自動車や飛行機、蓄音機など、近代の産業が折り込まれた布もある。
このたびわたしが開催している「着物とサリーの比較展示会」は、あくまでも日本とインドをつなぐテキスタイルを取り上げたが、しかし、中継地となる中国の影響についても、言及すべきだとの思いを新たにした。
わたしの好きなパールシー刺繍もまた、かつてムンバイのパールシーの貿易商が中国へ赴き、中国の刺繍を持ち帰ったのが端緒だった。かつて、高品質のシルク製品を製造していたのも中国だ。
大いなる中国の絹があってこその、シルクロード。東西世界の交易……。
哀しき文化大革命により、中国の伝統や芸術の多くが、無惨にも破壊されてしまったが、その名残は他国の中に、形を変えて息づいてもいる。
ただただ、布を媒体に、時空を超えた旅をする午後のひとときだった。しかし、さまざまに奥が深くて消化不良。展示会の魅力が封じ込められた、重厚なる写真集を買った。折に触れて、学びながら、少しずつ消化吸収してゆこう。
🥻The Registry of Sarees
https://theregistryofsarees.com/