半月余りのニューヨーク滞在も、まもなく終わる。
明日の夜、再びロンドンを経由して、バンガロールへ。
世間に公開する記録ゆえ、基本は「いいこと」を優先して記しているが、
半月のホテル暮らしは、それなりにストレスがたまる。
帰国するに、潮時である。
なにしろ、狭い。
バンガロールの広々とした空間に比すれば、実に息苦しい。
バスルームが1つしかない。
外食続きで、胃腸が疲れる……。
夫と毎日、顔を突き合わせているのは……。
という感じで。
サーヴィスアパートメントを借りればいいのだが、
この時期はどこも込んでいて、
うまく予約をとれた試しがない。
来年は、早めに計画を立てて、早めに予約をした方がいいな。
と、毎年思いながら、実行できぬまま。
毎年、滞在の形は似て非なる。
今回は、エンターテインメントをよく楽しんだと思う。
妻が「遊びほうける」一方で、
夫は休暇中ではあるものの、
ニューヨーク本社には数回足を運び、
それ以外にも、都合25人を超える人たちとミーティングをしたと、
この半月を振り返って、満足していた。
彼は明日、MIT時代、初めての寮生活のルームメイトだった友人トルガと再会する。
ロンドンに住んでいる彼が、たまたま今日、ニューヨークに到着したことを、
Facebookを通して知ったのだ。
普段はFacebookを使わない彼だが、
「旅行のときなどは再会に役立つよ」と提案した矢先のこと。
彼とて忙しいスケジュールにも関わらず、即返信が来て、
「明日のランチは、トルガとNOBUに行くことにしたら」とうれしそう。
今回もまた、わたしより、日本食率が高い夫。
そんな次第で、今日が二人でゆっくり楽しむ最後のランチ。
わたしは先日友人と訪れた、TELEPANに再び。
お店の人が、二人の写真を撮ってくれた。
ニューヨークでは、どちらかがどちらかの写真を撮っていると、
「撮ってあげましょうか」と気軽に声をかけてくれる人が多い。
昼間から、少々酔っぱらっている我。
マンハッタンの住宅街では、犬の散歩をしている人をよく見かける。
凛々しい横顔の犬。かわいらしい。思わず近寄る。
犬好きの夫。飼い主と話を始める。
写真を撮ってもいいですか、と問えば、「どうぞどうぞ」とフレンドリーに。
バンガロールの友人が飼っている犬、チャーリーを思い出した。
実物を見たことはないけれど、
やはりFacebookの写真でよく見ている。
……と、この犬のお名前も、チャーリーであった。
カナダから来た4歳半、
ビーグルとなんとかいう犬(覚えていない)の混血らしい。
毎日、数時間、セントラルパークを散歩しているという。
このあたりは、犬を飼うのに、本当にいいエリアだ。
夫が一足先にホテルに戻ったので、
わたしはアッパーウエストサイドをのんびりと散策。
最後に、毎度足を運ぶ、ジュイッシュ系の高級食料品店、ゼイバーズへ。
ここの2階のキッチン用品コーナーは、
実にごちゃごちゃとしているが、魅惑的な商品がたっぷり。
そして最後の夜は、またしてもリンカーンセンターへ。
今回最後のエンターテインメントは、
アメリカン・バレエ・シアターの「ドン・キホーテ」。
このポスターは闘牛士のイメージ写真だが、実際はそうではなく。
ドン・キホーテとサンチョ・パンサが旅を始めるシーンに始まり、
セビーリャの華やかな舞台。
色とりどりのドレスと華やかな舞踏。
フラメンコを思わせる、しかし艶やかなバレエ。
ドン・キホーテの「夢」のシーンは、
妖精が踊り、まるで「白鳥の湖」を思わせる清澄なイメージ。
これがまた美しく……。
もちろん、オーケストラの演奏もすばらしく、
起伏に富んだ、本当に楽しい舞台だった。
先日のオペラ「シンデレラ」も、
ウィットがきいた、大人のストーリーがすばらしかったが、
この「ドン・キホーテ」は、ただ、見て、聴いて楽しめるものだった。
生まれ変わったら、バレリーナになりたい! と子供じみたことを思いつつ、
ところで舞台には、2名の日本人ダンサーもいたようだ。
日本人の活躍は、なんとなく、うれしい。
さて、明日は荷造りなどをして、旅をしめくくる。
自分の気持ちもまた、いろいろと整理するために、
ゆっくりと過ごそうと思う。