平日は、何かと人の出入りが多いインドの生活。しかし日曜日は、メイドも庭師も、ドライヴァーもお休み。だからといって、家の呼び鈴が全く鳴らない日はなく、必ず、誰かが、何かを届けに来たりするものだ。
先週は、サイクロンの影響で、曇天、雨天がちだった。今日は鮮やかな青空が広がり、日溜まりが、心地よい。
朝の庭。日溜まりの中では、NORAの白さが際立って、フワフワがいっそうフワフワに見える。つい、触ってみずにはいられない。
花が落ちた後、日陰に放置していたら、また蕾をつけ、花を見せてくれた。数カ月おきに、気ままに、咲く。
それにしても、「日溜まり」というのは、いいものだ。特に夕方のそれは、ぐるぐると渦巻くように光が地上に降り注ぎ、その揺らぎが得も言われぬ美しさを湛えている。
「日溜まり」という言葉自体もまた、いいものだ。情趣がある。
これは今から20年と少しまえ、欧州を3カ月放浪した時のノート。旅の起点となったパリで地図とノートと糊を購入し、ノートの最初の見開きに地図を貼り付けた。3カ月の「旅絵日記」がぎっしりと書き込まれた、大切な宝物。
訪れる場所ごとに、地図を貼り付けた。それを見るだけで、瞬時に当時の、町の情景が思い浮かぶ。町の情景だけではない。そのときどきに経験したさまざまな出来事が。
ゆえに、旅のノートは、本当に、大切。
20代から30代半ばまでは、こうして旅の記録をノートに残していた。夫と旅をするときにも、二人で交代で、記録を残していたものだ。
ホームページやブログを使うようになってからは、すっかりやめてしまったが。
日本から帰国して直後、ふと欧州旅行が懐かしくなり、ヨーロッパの鉄道の時刻表が見たくなった。20年前に使っていた時刻表。捨てた記憶はないが、見つからない。アマゾンで注文したら、1週間後に、イギリスから届いた。
表紙こそ違えど、中身はあのころと同じまま。鉛筆を片手に訪れたい場所の名前に記しをつける。旅のプランをいくつか、イメージしてみる。
そう。こういう旅の仕方が、とても楽しいのだ。もちろん、欧州はドライヴで旅行をするのもいい。カーナビなどなかったあのころは、ミシュランのドライヴマップが、本当に役に立ったものだ。地図にマーカーで記しをつけながら、ドライヴルートを決める。そのプロセスがまた、楽しい。
地図は、いいものだ。
夫と出会ったばかりのころ、よく二人で欧州を旅をした。鉄道旅。ドライヴ旅。
ドライヴのときには、わたしが運転をし、アルヴィンドにナビを頼んだ。出会った当初、彼はまだ米国の運転免許証を持っていなかったのだ。
地図を読めないインド人。まったく頼りにならず、車中でバトルを展開した日々が、痛々しくも懐かしい。
などと長閑な日曜を過ごしながら、ふと何かを忘れていることに気づく。
自分の出張の準備は、概ね済んでいる。出張前にやらねばならないこと。……それは不在時の夫の食事作り! 慌てて野菜を調達し、冷凍庫の鶏肉、豚肉を解凍し、パンを焼きつつ(これはホームベーカリーがやってくれる)、急に仕出し屋と化す。
冷凍したものを食べるより、新鮮な外食の方がいいだろうとも思うが、これはもう、夫と出会って18年来のことゆえ、今更、面倒くさがっても仕方がない。都合12食分を作っておいた。あとは焼いたパンを切り分け、ご飯を炊いて一食分ずつわけておけばよし。
さて、明後日から日曜日まで、半年以上ぶりのデリー。
楽しみだ。